はじめに
太巻きにも押し寄せる“一点豪華主義”
恵方巻商戦のトレンド変化は他にもあるようです。その1つが、年に1度の機会なので、こだわりの具材を使った上質な太巻きを食べたいというニーズの高まりです。
中でも需要が伸びているのが、海鮮系の恵方巻。3年前は需要の半分程度でしたが、昨年は約6割までシェアが上昇したといいます。
こうしたニーズを受けて、イオンが今年の商戦に投入したのが「自慢の具材たっぷり海鮮招福巻」(1,280円)です。
7種類の海鮮をふんだんに使った「自慢の具材たっぷり海鮮招福巻」
180グラムのシャリに対し、具材が220グラムと海鮮具材をこれでもかと詰め込んだ商品。幅広い層に人気のサーモンをメインに、食感のアクセントになる数の子や海老を投入。しっとりとしたサーモンと、数の子や海老のプチプチ・プリプリの食感が同時に味わえます。
イオンが予約販売に力を入れるワケ
ほかにも、日本各地の漁師がお勧めする地元のおいしい魚介類を使った「PRIDE FISH」の太巻きを4種類、予約限定で販売します。
富山県の氷見漁港で水揚げされたブリを使った「富山湾のブリの贅沢太巻」や、兵庫県香住のカニをうま味が逃げないよう1杯ずつ手作業で身を取り出した「自慢の香住ガニの太巻」などを展開。昨年は3,000~3,980円で販売していましたが、今年は2,000円に価格を下げて売り出します。
香住ガニをぜいたくに使った「自慢の香住ガニの太巻」
こうした予約限定商品の効果もあり、イオンにおける恵方巻の予約販売数は過去5年で2.4倍に増加しているそうです。予約動向から当日の店頭販売数が予測できるので、廃棄ロスの削減にもつながっているといいます。
今ではイオンの2月の寿司の売り上げのうち5割弱を、惣菜全体でも8%弱を1日で稼ぐようになった恵方巻。かつては大阪と兵庫の店舗が上位を占めていた恵方巻の売上高も、名古屋や関東圏の店舗が上位に入るようになったようです。
今年の平均単価は800円前後と、前年比でさらに上積みを狙います。「2月はどうしても節分に依存する部分が大きいのが現状。いかに売り上げを落とさず、2ケタ伸ばせるかに注力していきます」(イオンリテール・デリカ商品部の鈴木雅光さん)。
店頭などで恵方巻のチラシを目にした時、こうしたトレンド変化を意識して眺めてみると、例年とは違う、面白い恵方巻と出合えるかもしれません。