はじめに
税務署による審査の関係で、NISA口座の開設には、これまで数週間〜1カ月程度の時間がかかっていました。
しかし、2019年1月にスタートした簡易NISA口座開設ならば、この時間を大幅に短縮可能。最短でその日のうちにNISA口座で売買できる金融機関も出てきています。
あなたも今日から非課税かも! NISAのしくみや口座開設の手順と合わせて紹介します。
簡易NISA口座開設ができるのはNISAとつみたてNISA
NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得られた利益にかかる約20%の税金をゼロにできる制度です。NISAを利用するには、利用する金融機関の口座(銀行ならば総合口座と投資信託口座、証券会社ならば証券総合口座)に加えて、NISA口座を開設する必要があります。
NISAには、以下の3つの制度があります。それぞれ、毎年の非課税にできる投資額や購入できる商品、利用可能な年齢などが異なります。
つみたてNISA | NISA(一般NISA) | ジュニアNISA | |
---|---|---|---|
利用できる人 | 日本に住む20歳以上の人 | 日本に住む20歳以上の人 | 日本に住む0~19歳の人 |
非課税になる投資額 | 年40万円 | 年120万円 | 年80万円 |
利益が非課税になる商品 | 記入長の基準を満たした投資信託・ETF | 上場株式・投資信託・ETF | 上場株式・投資信託・ETF |
非課税になる期間 | 最長20年(投資期間は2037年まで) | 最長5年(投資期間は2023年まで) | 最長5年(投資期間は2023年まで) |
引き出しの制限 | なし | なし | 18歳まで原則として引き出せない |
運用の管理者 | 本人 | 本人 | 親権者 |
このうち、はじめに紹介した「簡易NISA口座開設」が使える制度は、NISA(一般NISA)とつみたてNISAの2つです。利用する金融機関の口座をすでに持っていて、その金融機関が簡易NISA口座開設に対応しているなら、NISA口座の開設はすぐに完了します。
利用する金融機関の口座を持っていない場合、または金融機関が簡易NISA口座開設に対応していない場合でも大丈夫。時間は多少かかってしまいますが、口座開設はもちろん可能です。
本人確認書類とマイナンバーを用意しよう
口座開設の手続きは、ウェブサイト、または金融機関の窓口で行うのが一般的。事前に次のものを用意しておきましょう。
・本人確認書類
申し込んだ人が本人であることを確認する書類です。運転免許証、健康保険証、パスポート、住民票、個人番号カードなどが該当します。ウェブサイトで申し込む場合は、事前に撮影またはスキャンして、画像にしておくとスムーズです。なお、マイナンバーの通知カードはNGなので要注意。
・マイナンバー
口座開設時には、マイナンバーを登録する必要があります。個人番号カードか通知カードがあれば問題ありません。
3ステップでわかる口座開設手順
ここでは、証券会社のウェブサイトから証券総合口座とつみたてNISA口座を開設する場合の手順を紹介します。金融機関によって、順序は多少違う場合がありますが、手続きそのものはほとんど同じです。
(1)口座開設の申込、必要事項を入力する
ウェブサイトの「口座開設」などのボタンを押し、表示されたフォームに必要事項を記入します。「つみたてNISA口座を開設する」の選択肢が用意されている場合は、忘れずに選択しましょう。また、本人確認書類のアップロードやマイナンバーの登録なども指示にしたがって行います。
● SBI証券の口座開設例
ウェブサイトの「今すぐ口座開設」をクリック。
口座開設フォームの案内にしたがって、必要事項を記載する。
間違いがあると口座開設が遅れることがあるので、よく気をつけよう。
(2)納税方法を選択する
NISA口座を使わずに投資した場合、利益に約20%の税金がかかります。証券総合口座を「特定口座」にすると、証券会社が年間の利益と損失をまとめて、税金の額を計算してくれます。また「源泉徴収あり」にすると、納税まで証券会社がしてくれるので、確定申告も不要になります。したがって、手間を省きたいなら「特定口座の源泉徴収あり」を選ぶのがいいでしょう。
特定口座の欄で、「開設する(源泉徴収あり)」を選ぶと、確定申告が不要になる。
(3)郵送で届くログイン情報でウェブサイト・アプリにログインする
【パソコンから】
【スマホアプリから】
すべての手続きが完了すると、ユーザーネームとパスワードが郵送で届く。
2つとも入力後、「ログイン」を押すとログインできる。
口座が開設されると、IDとパスワードが郵送で届きます。これをウェブサイトやアプリに入力すると、売買ができるようになります。
簡易NISA口座開設に対応した証券会社ならば、この時点でNISA口座を使った取引ができるようになります。簡易NISA口座開設に対応していない証券会社の場合は、追って届く必要書類に記入捺印して返送したり、改めてつみたてNISA口座を申し込んだりして手続きします。
簡易NISA口座開設でスタートダッシュ!
一連の手続きが完了するまでの日数の目安は、おおよそ以下の通りです。
【証券総合口座とつみたてNISA口座を同時に開設する場合】
・簡易NISA口座開設に対応している証券会社:1週間程度
・簡易NISA口座開設に対応していない証券会社:3週間〜4週間程度
【つみたてNISA口座のみ開設する場合】
・簡易NISA口座開設に対応している証券会社:1日〜2日程度
・簡易NISA口座開設に対応していない証券会社:2週間〜3週間程度
こうしてみると、今すぐつみたてNISAを使った取引をスタートさせたいなら、簡易NISA口座開設に対応している証券会社を選んだほうがいいことがわかります。簡易NISA口座開設では、税務署による審査前に仮のNISA口座を開設し、先にそこで取引できるようにしています。あとで審査が通ったら、それが正式なNISA口座として扱われるようになるのです。
なお、万が一、あとからNISA口座が重複しているなどで、口座開設ができないことがわかった場合、仮のNISA口座は無効になり、課税されることになりますので注意しましょう。
簡易NISA口座開設に対応している証券会社はここ!
「鉄は熱いうちに打て」。投資も鍛冶も(?)、やろうという熱意がわき上がったときにすぐ始めたほうがいいですよね。
とはいえ、簡易NISA口座開設の制度はまだ始まったばかり。対応している金融機関がまだ多くありません。証券会社では楽天証券とSBI証券がいち早く対応していますので、今すぐ始めたいならば、まずは口座開設手続きをしてみることをおすすめします。
畠山 憲一
Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。
2018年より現職。夢はMochaを通してお金に困る人をなくすこと。趣味はランニング。