はじめに

10代後半と20代では6割前後が使う「ほぼほぼ完成している」

しかしながら、「①ほぼほぼ完成している」の使用状況は、年代によって大きく異なっています(図2)。この表現を「使うことがある」と答えた人は、20代以下では6割前後を占める一方、30代以降では半数を下回り、60代以降では1割前後となっています(図2)。

30代以降に注目すると、30代と40代では「使うことがある」と「聞いたことはあるが使うことはない」が4~5割の間で拮抗していますが、50代では「使うことがある」人が3割弱となり、60代以降では「聞いたことがない」人が4割を超えます。

40代をミドル世代の中心とみた場合、この表現を聞いたことがあると感じるかどうかが、若い世代と感覚を共有できるかの1つの判断基準になるかもしれません。

図2 「①ほぼほぼ完成している」の使用状況(年代別)

出典:図1に同じ

ミドル世代が新旧両世代のコミュニケーションを取り持つには?

年代による使用状況の差は、家庭や職場における世代間のコミュニケーションギャップにつながる可能性もあります。

たとえば年長者には「ほぼほぼ完成」が「ほぼ完成」よりも完成に近いのか遠いのかが伝わらず、日本語としての違和感やとまどいを感じさせてしまうこともあるからです。

一方で、若い世代が好んで用いる新たな表現には、既存の日本語や従来の言葉では十分表現できなかったり、これまでの時代には想定されてこなかった新たなニュアンスを含むこともあります。

ちなみに、「ほぼほぼ完成」は、「ほぼ完成」よりも完成に近いことを強調する際に用いられることが多いようですが、断定できないことを伝えたい場合にも使われます。

ミドル世代が新旧両世代のコミュニケーションを取り持つには、若い世代が意図したフレッシュな感覚を汲み取りつつも、年長者や目上の人が正しいと感じる表現をふまえておくバランス感覚が重要になりそうです。

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