キャリア

フォロワー100万超、「ぐでたま」生んだサンリオの育成術

SNS時代に愛されるキャラとは?

座右の銘は「明日から本気出す…」。その独特なユルさで、老若男女問わず人気を博しているキャラクター「ぐでたま」。2013年に誕生したサンリオのキャラクターです。

昨年はあの宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協働し、宇宙に飛び立ちました。さらにYouTuberデビューも果たすなど、怒涛の活躍をみせています。

手掛けるサンリオは、ハローキティやマイメロディなどを長年愛されるキャラクターを有する老舗企業。さまざまなキャラクターが人気を集め続ける背景には、どのような戦略が隠されているのでしょうか。マーケティング本部長の木村真琴さんに話を聞きました。


従来の枠に収まらないぐでたま

「いままで宇宙に行った人の中に、やる気のない人はいなかったので、とても新鮮だった」(JAXA広報)

昨年8~9月に実施されたJAXAとのコラボレーションは、ぐでたまがJAXA所属の金井宣茂・宇宙飛行士とともに宇宙へ行き、帰還会見も合同で行うという仰天企画。“まじめ”なJAXAと“やる気のない”ぐでたまのコラボレーションは当時、大きな反響を集めました。

ぐでたまの快進撃はこれだけではありません。同年12月には、なんとYouTuberデビューをしているのです。

ぐでたまYouTube公式チャンネルでは、ライブ放送やコラボレーション企画など、アニメとはまた違った独自番組を配信。12月27日に公開された動画タイトルは「絶対に笑ってはいけないぐでたま」。大晦日の某テレビ番組を彷彿とさせるような内容は、他のサンリオキャラクターではなかなかできない内容です。

(出所:ぐでたまのYouTube公式ページ、2019年1月9日時点)

現代のメディアにマッチした戦略

2013年に誕生したぐでたまは、2014年4月よりTBS系列朝の情報番組「あさチャン!」内でショートアニメをスタートさせ、幅広い認知を得ました。その後、LINEスタンプの発売で人気に火が付いたといいます。

ぐでたまの特徴は、ユルっとした卵型にも表れるやる気のなさと、さまざまな事象に対して鋭いツッコミを入れる言動の面白さです。そのキャラクターがSNSにマッチし、公式Twitterのフォロワー数は約104万(2019年1月9日時点)と、他のサンリオキャラクターと比べ2倍以上の数を獲得しています。

木村本部長は「昨今、キャラクターの成長スピードは上がっています。マスメディアからソーシャルメディアへとすぐに情報が広がる。そのような環境にマッチしたマルチコンテンツでキャラクターを育成する戦略が、ぐでたまのヒットを生み出しました」と話します。

今や市場規模・利益ともにハローキティ、マイメロディに次ぐ3番手に成長したぐでたま。そのやる気のなさとは裏腹に、サンリオを支えるキャラクターに成長しているようです。

実はなかったマーケティング部門

とはいえ、情報量が多い現代。瞬間的なブームが生まれることがあっても、長く愛されるキャラクターを生むのは容易ではありません。

木村本部長によると、これまでサンリオには明確なマーケティング部門というものは存在しなかったといいます。サンリオの創業者である辻信太郎社長が大筋を定め、それを分散した事業体で行っていたそうです。

しかし、辻社長も91歳と高齢となり、この先も長きにわたりキャラクタービジネスを展開し続けていくため、キャラクターの本質的な魅力を定義し価値を挙げていく機能が組織的に必要と判断しました。そして、その役目を担うべく新設されたのが、2018年4月に創設されたマーケティング本部だったのです。

マーケティング本部を設立した成果の1つが、ハローキティのYouTubeデビューです。ぐでたまのYouTubeデビューより遡ること4ヵ月前の2018年8月末、ハローキティがサンリオキャラクターとして初めてYouTube公式チャンネルを開設しました。

ハローキティを“再定義”するという試み

配信が開始されると、かつてないハローキティの“ぶっちゃけ”ぶりが大きな話題を呼びました。初回動画の再生回数は現在140万回を超えています(2018年1月9日現在)。このYouTube上でのハローキティについて、木村本部長はこのように話します。

「ハローキティは非常に知名度の高いキャラクターで、皆さんが身近に感じてくれます。しかし身近になりすぎたため、本人のキャラクターが見えにくくなっていました。ハローキティとは何者なのか、そこを今一度、現代のハローキティとしてアップデートしたいと考えていました」

アップデートといっても、勝手なキャラクターとして作り上げるのではありません。誕生当時から続くハローキティの精神、どんな人でも排除せず「ハロー」しよう、というハローキティの哲学をしっかりと受け継ぎ、それを現代のコミュニケーションに合わせていった形だと木村本部長は話します。

さまざまなメディアで情報が瞬時に広がる現代、そのスピードに比例してコンテンツの寿命も短くなっていると言われています。キャラクターの核は変えずとも、そのコミュニケーション手法を時代に合わせて変えてくことが、長く愛されるキャラクターを育てる秘訣の1つといえそうです。

<文:編集部 瀧六花子>

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