はじめに
みなさんは「資産運用」と聞いて、どんなことを思うでしょうか? 「お金をたくさん持っていなければ関係ない」「敷居が高くてとても手が出ない」「自分にはむずかしすぎる」などと感じる方も多いのではないかと思います。
しかし実は「資産を運用する」ということは特に難しいことではなく、誰もができることなのです。今回は、この資産運用の本質についてお話していきます。
資産運用は誰もができること
例えば、今まとまったお金がなくても、資産をコツコツ積み上げていくことも運用ですし、今ある資産を投資するだけでなく、そのための資産を作っていくことも立派な運用です。
それぞれの資金に合わせた計画、そして「貯蓄」にするのか「投資」にするのかということを決めていけばいいのです。
もし貯蓄を選んだとしても、いかに有利に貯蓄を積み上げていくのかを考えましょう。銀行に預けることだけが貯蓄ではなく、生命保険や金の積み立ても貯蓄と言えるのではないかと思います。
そして投資も、株式や債券などの「有価証券」、その派生商品である先物商品や為替などにも投資の側面があります。
ここで気をつけなければならないのは、投資はあくまでも比較的遠い将来を見て資金を投入することで、「投機」とは区別する必要があるということです。
「投資」と「投機」は違うものと区別せよ
宝くじやギャンブル、そして株式投資でも上がるか下がるかに賭けるような資金の投入は投資ではなく、投機と呼ばれます。
インターネット広告などで「資産を○○倍にする」「6万円が20億円に」などといった景気のいい話を見かけることがあると思います。たまたまそうなった人もいるかもしれませんが、通常であれば「預金金利プラスα程度の利息(収益)」が上がればいいのではないかと思います。
マンションを購入して人に貸したり、アパートを建てて賃貸にしたりすることも投資ですが、すぐに投資した資金の何倍もの資産が手に入るということではありません。何年も経てばマンションが値上がりして購入金額の何倍もの資産になることもありますが、どちらかというと「何倍になるか」ということではなく、「賃貸収入が年間で何%くらいになるか」という考え方が基本になると思います。
株式投資はギャンブルではない
「株式投資」もあくまでも投機やギャンブルではなく、投資として考えれば、短期間で何倍も、何%も上昇する必要はなく、比較的長期であっても、ある程度定性的に収益が上がることが肝要となります。
「何倍にもなる」という意識で株式投資を考えると投機やギャンブルになることが多く、資産運用でもなんでもなく、単に「賭け」をしているに過ぎません。
株式投資は資金を投入した企業が収益を上げ、その投入した資金に対してどのようなリターンを返すかということです。「配当」というかたちで投入した資金に対してリターンがあり、また「株価の値上がり」というかたちでリターンがあります。
前者を「インカムゲイン」と言い、後者を「キャピタルゲイン」と言いますが、投機として株式を購入するような場合にはキャピタルゲインの追求ばかりで、インカムゲインを無視することが多いです。そしてなによりネックになるのは、株式価格は購入時よりも値下がりをする可能性があるということです。
つまり、せっかくインカムゲインを得たとしても、株価の値下がりによって「キャピタルロス」になることもあるのです。
ですから、株式や債券などの有価証券に投資をする場合、貯蓄との一番大きな違いとしては、いかに損失を出さないようにするかが大切なのです。
つまり、投資をする上で一番考えなければならないのは「株価が何倍になるか?」ではなく、「いかに株価の下落を防ぐか」になるのです。そして、この下落を防ぐ手段としては、下落する前に売却する、あるいは時間的に下落している時間帯を減らすような工夫をすることがあります。
株価は企業の価値や将来性、成長性などを考えて妥当と思われる水準を中心に、その時々の投機的な売り買いや株式市場の雰囲気などに左右されて決まるものです。実力以上に買われたり、売られたりするのが株価であり、金利や為替、そして世界情勢などでも売られたり、買われたりします。