独自の仮想通貨によって一つの経済圏を作り、人をお金から解放する――――。そう語るのは、昨年仮想通貨を通じてソーシャル・ベンチャーを支援する投資事業会社「eumo」を設立したばかりの新井和宏さん(前・鎌倉投信ファンドマネジャー)。

とはいえ、仮想通貨を使うことに本当に問題点はないのか? と思う人も多いのではないでしょうか。「仮想通貨を気持ち悪いと思ってしまう理由」や「地域通貨がなぜ成功しないのか?」……

前編に引き続き、“お金の本質”ついて、さらに詳細をお聞きします。


地域通貨はなぜ成功しない?

――新井さんの新会社「eumo」(ユーモ)が、新しい通貨をやろうとしていることは、コンセプトとして地域通貨に近い印象を受けます(前編)。しかし、地域通貨はうまくいっているイメージがあまりありません。

新井(以下同): 確かにそうですね。少ない成功例でもほとんどまだ旗振り役の人の人間力・魅力や力技だけでやっていたりします。でも、地域通貨がジリ貧になりがちな根本原因は、多くは買える財が非常に限られてしまっているからです。

地域通貨を人口の少ない小さな自治体でやるとしましょう。しかし実態として、人々の欲しいものや生活に必要なものの多くは、地域外との取引で得るものが圧倒的範囲を占めている。輸入のようなものですね。だから、「これだけに地域通貨を使ってもね……」ということで、結局、円を使う。財が一定割合を超えないと地域通貨は機能しません。

一方で、たくさんの人を巻き込もうとすると考え方の違う人が出てくる。考えの違う人は反対派になってその地域通貨を使わない。小さな自治体での失敗と同じように、“小さい点”で終わってしまう。でも、ひとつひとつが小さくても、そういう“小さい点”をつなげて横に広げていくと、成立する可能性があります。

――というと?

eumoに関わる個人、機関、団体は、鎌倉投信で培った関係性も含め、支援先企業、個人投資家、連携している自治体など多岐にわたります。僕たちが作る新たな通貨は、支援先の企業と個人投資家の間のやり取りで使うだけではありません。

持続的な社会を創るという同じ思いでつながる支援先の企業同士、企業と自治体、自治体と個人投資家、もしくは同じ企業を応援する個人投資家同士やコミュニティー、はたまた支援先の企業で働く従業員個人と自治体など、多くの人が自由な形で参加し、使えるようにします。そのつながりづくりをeumoがフォローする。

いわば、共感のネットワークで繋がった連合です。共感を軸にしたこの連合で使えば、仮想通貨は広域地域通貨になりえます。

――同じ思いを持つ海外の人や企業とのつながりも考えられますね。

一つの経済圏を作れれば、新しいお金を定義できる。実際、アイスランドなどは人口たった35万人ですが、一つの通貨を持ち、国として成立しています。

こうした設計と同時に、連合を作る旗振り役となってくれる存在も必要です。提携先の自治体や支援先の企業に行って課題解決したり、つながりづくりを助ける人がいないと今言ったことは実現できない。そのため、僕らのノウハウを伝え、現場に行ってくれる人材を育てたり、企業に送り込む教育事業も事業の一つとして手がけます。ソーシャル・ベンチャーへの支援、新しい通貨のプラットフォーム作りに次ぐ3つ目の事業目的です。

ただし、都会の優秀な人が地域の課題を解決しようとすると、「俺のスキルで教えてやる」と上から目線でやってしまいがち。地域のコミュニティーを破壊してしまうことがよくあります。そうならないように人間力のある人を選ばないといけない。

実は、抽象的な概念だった「人間力」を測る方法も、最近はよく学術研究されているんですよ。“いい会社”を作るには“いい人”と言われる利他的な人が必要ですが、人間力を数字で測れるようになってきた。その研究も同時にeumoでは進めています。