はじめに
第二次安倍政権が発足した当初、「2017年度末までに待機児童をゼロにする」との方針を打ち出していました。しかし、一向にゼロになる気配はありません。
その間、政府は努力を重ねてきたと思います。それでも追い付かないほどに、保育施設へのニーズが高まっています。
子どもを保育施設に入れるための活動は、保活と呼ばれます。その保活の大変さは、実際に経験した人にしかわからない面があります。
巷では、「#保育園に入りたい」「#保育園落ちた」などハッシュタグがついたコメントがSNS等で共有されています。保活そのものは以前から行われていたはずですが、今これらの活動が活発に行われているのは何故なのでしょうか。
しゅふJOB総研のアンケートからは、決して大袈裟な訳ではない、今どきの保活の厳しさが見えてきました。
希望の施設に預けることができたか?
アンケートに協力してくれた働く主婦層のうち、保活に取り組んだ経験があると回答した人だけに「保活して、保育施設に預けることはできましたか?」と尋ねたところ、以下のグラフの結果となりました。
有効回答数286人
「希望の施設に預けることができた」と回答した人が過半数となっています。また、「希望の施設ではないが預けることができた」と合わせると78.3%。8割近い人が何らかの施設に預けることができています。
一見、8割の人が預けられているのであればそんなに厳しい訳じゃないかも、と思ってしまいそうです。しかしながら、寄せられたフリーコメントの中には、以下のような声がありました。
「2人目を考えた時にまた一緒の園に入れるかなど悩みが増える(20代:SOHO/在宅ワーク)」「近くに頼れる人もおらず、夫婦で生活を立てていくのに保活を乗り切り遠い園に入って育児、家事を続けられるとは思えず仕事を諦めている(30代:今は働いていない)」
希望の施設でなくても満足か
実際に、兄弟姉妹で別々の園に預けることになってしまった、というケースも耳にします。また、場所が遠かったりすると労力がかかり、送迎の負担が大きくなってしまいます。
さらに、保育施設との相性もあります。子どもを預ける訳ですから、安心できる環境でなければなりません。保育方針に納得がいかなかったり、安全性に疑問を感じるような施設に預けなければならないとしたら、抵抗感は強いはずです。
そう考えると、「希望の施設ではないが預けることができた」という回答は、満足を意味するものとは言えません。保育施設での預かりを望む人全員が、希望する施設に入ることができる状態こそが望ましいはずです。
30代以下の保活の厳しさ
改めて、「希望の施設に預けることができた」かどうかを軸に先の円グラフを見てみると、「希望の施設に預けることができた」を選ばなかった人が46.5%います。この人たちは、「希望の施設に預けることができなかった」人たちだと言えます。さらに年代別に見てみると、以下のグラフのようになります。
年代が下がるごとに「希望の施設に預けることができた」比率が低くなっています。このグラフから、今どきの保活は前の世代に比べて希望の施設に預けられる可能性が低いと言えそうです。
もちろん、世代ごとに大変さは異なります。今は夫婦共働きが当たり前の時代ですが、専業主婦世帯が主流だったころの保活は、今以上に世間の目が厳しかったはずです。ですから、このグラフだけで今の保活の方が大変などと一概には言えません。
しかしながら、「希望の施設に預けることができた」かどうかだけに限れば、その難易度は今の方が高いとは言えると思います。