前回記事(「相場のことは相場に聞け、マーケット指標を見比べてみよう」)では、TOPIXグロース指数、同バリュー指数、東証配当フォーカス100指数を比較して、2018年は株価が下落したものの、下落局面によく見られるディフェンシブ指向が見られないと紹介しました。

それから約1ヶ月経ちましたが、トレンドに変化は見られるのでしょうか。前回と同じ指数の年明けからの推移を比べ、さらに今回は過去10年間と比較してみたいと思います。


2018年以降、ディフェンシブ傾向見られず

TOPIXグロース指数とTOPIXバリュー指数は、PBR(株価純資産倍率)の高い銘柄群と低い銘柄群をそれぞれ指数化したものです。一般にPBRとROE(自己資本利益率)には一定の相関があり、高PBR=高ROEの傾向となります。したがって、グロース指数はROEが高い企業群の動きを示しています。

(表1)主な東証指数の年間騰落率比較

過去10年間をみると、株価が上昇した年はグロース指数がバリュー指数を上回っています。
一方で株価が下落もしくは横ばいの年は、バリュー指数の方が相対的に優位であることが多いようです。2011年はグロース指数が優位ですが差が1%しかありません。

ところが2018年は、バリュー指数の下落率がグロース指数より2.7%も大きくなっています。一般に、株価下落局面ではグロース銘柄が売られ、バリュー銘柄や配当利回りの高い銘柄など、いわゆるディフェンシブ銘柄にシフトする傾向が見られることが多いのですが、2018年はどうもそうではなかったようです。

ちなみに配当利回りの高い銘柄で構成する配当フォーカス100指数の推移をみると、株価が2ケタ以上の大きな上昇を見せた年(2009、2012、2013、2017年)は出遅れやすく、株価上昇率が1ケタ程度の年(2014、2015年)は、逆に上昇率が高い傾向が見られます。一方で、株価が下落した年(2010、2011、2016年)は、グロース指数より相対的に優位にあるか、ほぼ同等です。

そして2018年の配当フォーカス100は、バリュー指数より下落率が低くなっていますが、グロース指数とは変わらず、配当株優位とはなっていません。これを見る限り、2018年はディフェンシブ株シフトが起きなかったようです。

つまり、中国市場・スマホ市場の減速でハイテク銘柄が下落しても、それ以外の内需系銘柄や金融株も同じように下落してしまい、ディフェンシブ効果が期待できなかったということになります。

2019年はわずかながらにグロース指数がリードしています。2018年のトレンドから、特に変化していないように見えます。

下落しても日経平均優位は過去と異なる

次に、日経平均とTOPIXの推移も過去10年と比較してみたいと思います。NT倍率は、日経平均÷TOPIXとして算出される数値ですが、日経平均を構成する225銘柄への取引集中比率が高まると数値が上昇します。

この225銘柄の組み入れ比率上位は、ハイテク株や値がさ株が多く、一般的に輸出株・ハイテク株主導の株価上昇局面や海外投資家が買い越しているときのサインと言われてきました。

(表2)日経平均とTOPIXの年間騰落率の推移

2018年のNT倍率は、4月頃から上昇し始め、1999年以来の13倍台を超えました。2019年に入っても13倍台をキープしています。過去10年を見てみると、年間株価が上昇した2009年、2012年、2013年とほぼ横ばいの2016年にNT倍率の上昇が見られます。

一方、株価が下落した年のNT倍率は、2010年が若干低下、2011年は若干上昇しましたが、どちらも大きな変化ではありません。ところが2018年は大きく上昇しています。しかも日経平均とTOPIXの下落率に5%以上の差が付いています。過去10年間の下落局面とは、異なるパターンのようです。

2018年後半の株価下落局面では、中国市場・スマホ市場の減速を背景に、半導体関連や工作機械などのハイテク株の下落が目立っていたように感じた人が多いと思います。しかし実際には、日経平均を構成する225銘柄の方が、東証1部全体(TOPIX)よりも下落幅が小さく、相対的に健闘していたようです。