はじめに
「いずれ回復する」→グロース株の勧め
「市場はいずれ回復する」
これは、大手電子部品メーカー社長による、直近の決算発表後の説明会でのコメントです。
世界経済をけん引する中国・米国の景気、スマホ、半導体、ロボット・工作機械、そして自動車などがいずれも減速傾向を示す中、この企業の決算も下方修正となりました。「受注が急減速した、回復時期はまだ分からない(だから今回下方修正した)。しかし、市場はいつか回復する。そのための改革や増産準備は続ける」というのが主な発言でした。
この社長の言葉がハイテク株の将来を言い表しているような気がします。中長期的に見た場合、データ流通量の高まり、世界中の自動化投資ニ―ズ、世界の人口増と所得水準の向上などを考えれば、半導体や電子部品、ロボットなどのハイテク市場は、いずれ回復する可能性が高いと思います。ただし反転のタイミングが見通せないのです。
再び各指数の動きを見てみましょう。年明け以降、バリュー指数、配当指数の優位は見られません。米中経済やハイテク市場の減速が長期化するのであれば、ディフェンシブ指向が強まりそうですが、現時点ではそうなってはいないようです。
次の4~5月の決算発表は、さらに下方修正が増えるでしょうし、来期の会社予想も慎重な見方が増えそうです。そしてその見方は既に市場に浸透しているでしょう。それでもなお、市場はまだグロース株から逃避していないという見方もできそうです。
「いずれまた回復する」との期待がグロース株を支えているような気もします。引き続き、ハイテク株の比率が高いグロース指数、日経平均の優位が続くと思います。売られ過ぎたハイテク銘柄を探してみるのも面白いのではないでしょうか。
<文:ストラテジスト 田村晋一>