はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回は読者の家計の悩みについて、プロのFPとして活躍する深野康彦(ふかの・やすひこ)氏がお答えします。
新車の購入資金を普通預金で賄うことができない場合の充当手段として、定期預金の解約・株式の売却・投資信託の売却・金およびプラチナの売却などを検討してます。上記手段の望ましい優先順序を教えてください。
普通預金は毎月の支払で、ほとんどありません。定期は満期を経過したものが約150万円、定額預金も約150万円あります。なお、負債はありません。そのほか、一般財形貯蓄も約1,000万円あるので、ローンを組む必要はないのですが、せっかく貯めた資産の一部を使うことに不安を感じてしまいます。また、株や投信もこれから増やしていくことを考えると、目減りさせたくない気持ちもあります。とはいえ田舎のため、車は必需品で、高い買い物も定期収入があるうちにと、家内にごり押しされています。
(50代後半 既婚・子供2人 男性)
深野: 新車の購入資金として、どの運用資金を充てたらよいのかというご質問ですが、質問から察すると預貯金を充当するよりも、株式や投資信託の売却代金を充当することにやや抵抗があるように感じます。
ご質問には「今後、株式や投資信託を増やしていくから」と記載されていますが、購入している株式や投資信託が上昇している(含み益が出ている)からではないでしょうか。
もっと利益を確保したいと思われている(間違っていたらごめんなさい)気がしたからです。ただし、株式や投資信託などの価格が変動する投資商品は永遠に上昇し続けることはありません。
投資を始めて目標額に達したら
投資を始めるときに、株式や投資信託などでどのくらいの利益を確保するつもりでいましたか。例えば、20%の収益の確保を目指して投資を始め、目標額に達したら、購入している株式や投資信託を売却されてもよろしいのではないでしょうか。
さらに上昇するかもしれないと考えられているなら、一部を売却してみてはいかがでしょうか。
株式投資では1単元のみの投資だと、売却するか保有するかの選択しかありませんので、もし1単元のみの投資であれば今後は2単元購入して、半分売却するなども一部売却をできるようにしておいた方がよいでしょう。
金、プラチナに関しての考え方
金、プラチナに関しても考え方は同じで、目標額に達しているなら、一部を売却するなどして利益確定をしたほうがよいと思います。質問からは、目標額を上回っているのかはわかりかねますが、売却する際の判断の参考になさってください。
株式や投資信託などの投資から、目標額の利益が出ていると仮定すれば、新車の購入代金の半分を売却代金で充当する、半分を満期が経過している定期預金で充当してはいかがでしょうか。
売却に際しては、目標額を1番上回っているものから順次売却されるとよいと思います。目標額が達している株式や投資信託などで、新車の購入代金の半分も満たせないなら、満たせる部分を株式や投資信託などの売却代金で充当、残りは満期が経過している定期預金、定額貯金の順に充当されてはいかがでしょう。
仮に株式や投資信託などのすべてが目標額に達していないなら、株式や投資信託などの売却代金は充てにせず、満期が経過している定期預金、続いて定額貯金を充当されるとよいと思います。