はじめに

健康経営銘柄の値動きは市場を上回る

こうしたことを考えると、健康経営企業の業績には期待が持てます。株式投資でも、将来の高い収益率が見込まれるかもしれません。実際に検証してみましょう。今回選ばれた37社の株価が過去、どのように動いてきたかを調べてみました。

分析の仕方は次のようです。2015年12月末時点で37社に投資した場合、株式収益率がどのように推移するかを見てみました。具体的には、37社に同額ずつ合計100万円投資した場合、2019年1月末まででいくらになったかを見たものです。

図1の青い線がそれです。112ポイントとなりました。つまり、112万円に増えたことになります。

この間、株式相場全体がもっと上がってたとしたら、健康経営企業に投資しないほうがよかったことになってしまいます。そこで、東証1部上場企業の平均的な収益率を示す東証株価指数(TOPIX)と比較しました(赤線)。TOPIXは101ポイントだったので、健康経営企業の株価11ポイント分、良かったことがわかります。

発表直後に投資すると、どうだった?

実は、ここまでの話でだけでは、健康経営企業の株価が上昇するという説明にはなりません。

図1の健康経営企業は2019年2月に発表されました。指数化の起点である2015年末の時点では、この情報を投資に生かすことは不可能です。3年後に発表されることを事前に知っていたことになるからです。

そこで、2016年に発表された企業を使ってみました。同年1月21日に健康経営企業の25社が発表されました。その後の1月末に健康経営企業に100万円投資する検証を行いました。

分析の結果は、図1とは少し傾向が違います。健康経営企業のパフォーマンスはTOPIXを大きく上回れませんでした(青線)。しかし、3年後の2019年1月末にかけて、健康経営企業の株式収益率がTOPIX(赤線)を上回っていることは評価できます(図表2の囲み部分)。

健康経営に選ばれてしまうと、それまで市場で評価されて株価が上昇してきたことがいったんは一服するようです。しかし、長期的な投資の観点で見れば、株価は市場全体を上回り、堅調に推移すると考えられそうです。

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