はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回は読者の家計の悩みにプロのFPとして活躍する深野康彦(ふかの・やすひこ)氏がお答えします。

がんサバイバーが住宅ローンを組む際の生命保険について教えてください。私はがんにかかったことがありますが、現在は完治しており、お医者さんと相談したうえで定期検診なども受けておりません。住宅ローンを組む際に団体信用生命保険に入ることになりますが、がんにかかったことがある人間が、この保険に加入するにはどのような条件があるのでしょうか? 一般的な話でよいので教えてください。
フラット35であれば団体信用生命保険に入らなくても借りられることは把握しております。
(30代後半 男性 独身)


深野: 銀行などで住宅ローンを組む場合は、「団体信用生命保険(以下、「団信」)」への加入が絶対条件となっていることから、団信に加入することができなければ、銀行で住宅ローンを組むことはできません。

がん、脳卒中、心筋梗塞などの重い病気を患ったことがある人は、生命保険や医療保険に加入できないケースが多いようですが、団信も一種の生命保険ですので、審査の際には過去の病歴、持病などについて審査されます。審査の結果によっては団信に加入できず、結果として住宅ローンを組むことができないこともありえるでしょう。

ただし、団信に加入する際に健康状態を告知する「告知書」の内容は、一般的な生命保険よりも少し緩くなっているようです。

ご質問者はがんにかかったことがあるようですが、すでに完治されているとのこと。完治してから3年以上経過していれば、告知する必要はなく加入できますが、3年以内にがんを含む該当する病気にかかっていた場合は、団信に加入することは難しくなると言えます。

なお、銀行ローンは団信への加入が絶対条件ですが、「フラット35」は団信への加入は任意となっています。団信への加入が難しい人はフラット35で住宅ローンを組むことも視野に入れるべきでしょう。

住宅ローンを組む際の注意点

その際に注意したいのが、住宅ローンを組めるのか・組めないのかということに注力するのではなく、住宅ローンを組んだ後にきちっと返済が続けられるのかどうかに最大限注力をする必要があるということです。

団信に加入できないということは、なんらかの病気に関する事情を抱えていると考えられます。返済途中で病気が再発するなど、仕事を休職しなければならず、返済が一時的に滞る可能性もないとは言えないからです。

返済が滞らないようにするためには、身の丈にあったマイホームを購入する、無理のない返済計画を作る、万一のために預貯金などの金融資産を余裕を持って残しておくなど、より慎重なマイホーム購入計画を立てるべきでしょう。

万一、病気などになり返済が滞りそうな場合は、1日でも早く銀行に相談されるべきです。住宅ローン返済計画の見直しなどに応じてくれるはずです。返済が滞ってからではなく、滞る前に相談した方が銀行の心証もよくなります。その際は、隠し事なく洗いざらいの家計の状況を話して相談に乗ってもらうべきでしょう。

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