はじめに
相場の世界では、「説明はつかないけどよく当たる」、アノマリーという現象があります。
昔から語られてきた言い伝えのようなものですが、アノマリーを重視する投資家は意外と多いのをご存知でしょうか?
今回は、そのアノマリーについて学びます。
ジブリ作品放送後は相場が荒れる?
相場の世界でまことしやかに囁かれた噂を、あなたはご存知でしょうか?
それは「金曜ロードショーでジブリ作品が放送されると、相場が荒れる」というものです。10年ほど前から言われてきた法則ですが、実際に作品が放送された直後の為替相場や翌週月曜日の株式相場が乱高下することが多く、「ジブリの法則」や「ジブリの呪い」としてネットを中心に囁かれました。
もちろん、相場の世界とジブリ作品は何の関係もありません。
このように「説明はつかないけど、ある一定の法則で価格が動く」という現象は「アノマリー」と呼ばれ、投資家の間では広く認識されています。
他にも「4月は株価が上昇することが多い」「月曜日は株価が高い」など、はっきりとした理由はないのにそうなることが多いと言われる例はたくさんあります。
大体の法則には理由がある!
では、本当に理由はないのかというと、実はそうでもありません。
さきほどの「ジブリの法則」は、金曜日の夜であることが鍵となります。毎月第1金曜日(原則)の夜は「雇用統計」というアメリカの雇用状況を調査した数値が発表されます。
雇用統計は最も重要な経済指標の一つとされていて、結果の良し悪しによって為替を中心とした相場が大きく動きます。雇用統計の結果で相場が動いた日に、たまたまジブリ作品が放送されていることが多かった…というのが、このアノマリーの真相でしょう。
「4月は株価が上昇することが多い」というアノマリーは、4月が新年度の始まりであることが関係していると考えられます。
新しい年度が始まり、気分新たに相場に挑もう!という人が増えると株を買う人が増え、株価が上がりやすくなるからです。同じような理由でお正月も株価が上がりやすく、「ご祝儀相場」と言われています。
また干支のアノマリーも存在します。「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)は辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁盛、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(う)跳ねる」という相場格言です。
それぞれ「辰年や巳年では株価が天井をつける傾向があり、午年は下がりやすい。一方、戌年や子年、寅年などが高くなりやすい」という意味になります。毎年必ずこの動きなるという訳ではありませんが、干支ごとに日経平均の騰落率を並べると、格言と似た動きになります。