はじめに

保育園の名簿などが自動的に通称名に!

Step4:居住地に子どもを住民登録し、通称名(日本名)を設定する

Step3で準備した「日本人の配偶者等」に変更したビザの証明書を持って、夫婦の居住地の自治体に子どもの住民登録をします。これによって、Aちゃんの医療証なども無事に発行されます。

住民登録の際には、あわせて通称名(日本名)の設定をすると便利だそうです。

「外国籍の子どもは、日本国籍の子を特別養子縁組する場合とは違って『姓・名ともに元のままで住民登録』されますので、生活しやすいように日本人の名前をつける通称名の手続きをお薦めします」(芳樹さん)。

Aちゃんは、この通称名の設定によって「美花」(仮名)という日本らしい名前を得ることができました。

通称名の登録に関しては、通常は「その通称名を利用しているという確証(名札や年賀状など)」を用意する必要があるケースが多くありますが、Aちゃんの場合は、手続きの窓口で「未成年なので確証は不要」と言われたそうです。

この通称名の設定によって、Aちゃんの健康保険証、医療証、認可保育園の名簿が通称名の「美花」という表記になり、生活上、関係機関に複雑な説明をしなくても暮らせるようになりました。

Step5:生みの母の国の大使館で、国籍証明書を取得する

帰化申請のために必要になる書類です。Aちゃんの場合は、「本当にAちゃんを日本に養子に出していいのか」という意思確認のため、生みの母と連絡をとる必要がありました。そこで高原さん夫妻は、生みの母の出身国の大使館に連絡し、大使館が生みの母に連絡をとって確かめたそう。

「国籍証明書という名称ですが、実態としては、子どもが元の国籍を“離脱”するための証明書だと思いました。生みの母が日本を出国して連絡がとれなくなってしまうと、発給が困難になる恐れもあるため、早目の取得をお薦めします」(芳樹さん)。

Step6:帰化申請をする

日本国籍を取得するための申請をします。許可されれば、戸籍謄本に子どもの名前が入ります。帰化によって日本国籍を得られれば、日本人と同様に選挙権も得られます。

「また最近は中学・高校の修学旅行で海外に行く機会も多くあり、その際に日本国籍を持っていなければ、子どもが苦労することにも繋がりかねませんので、帰化の手続きは必須です」(芳樹さん)。

子どもの場合は、1年以上継続して日本に住んでいれは申請が可能だそうです。必要な書類は膨大です。Aちゃんの場合は30種・計100ページ以上の書類が必要でした。

書類を提出して申請をした後は、夫婦で法務局に出向いて面談を行います。高原さん夫妻の場合は、夫婦で計約1時間ほどかけて以下のような内容の質問を受けました。

法務局の面談で聴かれた内容
・家族関係・新戸籍の確認
・夫婦が知り合った経緯
・結婚式の場所
・養子縁組の経緯
・帰化に反対する人がいるかどうか
・年収/月収
・寄付金控除の内容
・医療費控除の内容
・犯罪歴、補導歴、暴力団との関係
・仕事内容
・育休期間

無事に帰化が認められれば、官報に掲載されます。必要な書類や手続きの詳細は、法務局の帰化相談(要予約)に申し込むと教えてくれます。

Aちゃんの場合は帰化が認められ日本国籍を得るまでの期間は、1年程度だったといいますが、「この程度が通常の所要期間のようです」と芳樹さんは話します。

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