はじめに
4月からの新年度を目前に控え、世間は引っ越しシーズン真っ只中。新生活を機に、家電を買い替えようという人は多いかもしれません。
これまでは不要な家電は廃棄したり、業者に引き取ってもらう、逆に家電が欲しい場合は店頭で購入するというのが一般的でした。しかし最近は、フリーマーケットアプリで不要になった家電を出品したり、欲しかった家電を店頭よりも安い価格で購入する人が増えてきているようです。
では、実際にフリマアプリで取引した場合、どの種類の家電が高値で、あるいは手頃な価格で売買されているのでしょうか。楽天が運営するフリマアプリ「ラクマ」とアート引越センターの共同調査の内容を深掘りしてみます。
平均単価のトップは「テレビ」
アート引越センターによると、2017年10月~2018年9月の1年間に引き取りを行った家電の台数は、トップが「洗濯機・乾燥機」の2万3,696台。これに「冷蔵庫」が2万3,299台、「エアコン」が2万3,140台、「テレビ」が4,913台で続きます。
同じ期間に同社が引っ越しを担当した顧客数は49.5万件なので、全体の5%程度で引き取りを実施した計算になります。ただし、家電の引き取りは顧客から要望があった時に行っている“裏メニュー”的なサービス。潜在ニーズは5%以上あると考えられます。
一方、引っ越しシーズンである3~4月にラクマで取引された家電の平均単価は、「テレビ」が2万5,199円でトップ(2018年、以下同)。「冷蔵庫」が2万2,669円、「洗濯機」が2万1,718円、「エアコン」が1万8,612円、「乾燥機」が1万1,351円となっています。
乾燥機は新品を店頭で買うのに比べると、かなり手頃な価格で取引されています。また、エアコンについては、別途送料や設置作業料が発生するため、取引価格は若干低めの水準で成立しているようです。
(注)アート引越センター:2017年10月1日~2018年9月30日(家電リサイクル対象4品目についての調査)、ラクマ:2018年3月1日~4月31日 (出所)楽天
これら、引き取り台数と平均取引単価のデータを掛け合わせると、アートの引っ越しにおいて処分される不要品の市場規模は約15億円に上るとみられます。ただ、引っ越し業者はアートだけではありませんし、前述のように引き取りの潜在ニーズは実績以上にあると考えられるため、市場規模は15億円からさらに膨らみそうです。