はじめに

年明けから堅調な株価推移を続けてきた世界の株式市場は、足元では上昇が一服傾向にあります。グローバルの株式市場を牽引してきた米国株も、バリュエーション(予想PER)の切り上げに頼った株価上昇には限界があるもようで、値動きは落ち着いた状態にあります。

今後の展開としては、米中貿易問題の決着と、1~3月期決算の発表シーズン(4月中旬から5月上旬)における業績見通しの改善が、さらなる株価上昇のカギを握ることになりそうです。それまで米国株はしばしの充電期間を経る可能性があり、その他の市場も米国株見合いで方向感のない相場展開となることが予想されます。

英国ではEU離脱の方針をめぐり、依然として議会が混迷を続けています。もはや、「合意なき離脱」か「長期の離脱期限の延期」かの二択とも言われており、予断を許さない状況に変わりありません。それでも、「合意なき離脱」は回避されると見る向きが大勢ですが、英国・欧州株に対する投資家の慎重姿勢は継続すると考えられます。

3月に著しい株高を実現させた中国株についても、政府による景気下支え策への期待を先取りした側面が強いことから、目先は利益確定の売りに押される展開もイメージされます。そうした中で注目されるのは、日本株の動向です。


相場の“真空地帯”を埋められるか

年初来の株価の出遅れが指摘されつつも、未だパフォーマンス面で優位に立っていない日本株。名実ともに新年度入りした4月1日の日経平均株価は2万1,509円と、前週末終値比で303円上昇しました。新元号発表に伴うご祝儀相場との見方もありますが、新年度入りに伴う株式需給の改善期待が寄せられます。

やや消去法的な発想ながらも、相場の真空地帯を埋めるような形で、日本株のパフォーマンスが改善に向かう可能性も念頭に置いておきたいところです。

年初来の米国株のパフォーマンスは堅調ですが、一方で米国の景気減速懸念は根強いものがあります。2018年10~12月期の実質GDP成長率は前期比年率で+2.2%と、7~9月期からの減速は否めず、2019年1~3月期については同2%に届かないとの見方が大勢を占めています。

ただ、この時期は政府閉鎖の影響で、多分にノイズを含んでいる可能性があり、額面通りには受け取れない側面もあるでしょう。

次の決算発表まで“充電期間”?

米国では、とりわけ、個人消費の減速が焦点となっており、12月の小売売上高の失速から1月の回復が限定的となったことが、弱気派に勢いを与えているもようです。とはいえ、株価に連動する消費者マインドは依然として強く、目先、極端な消費の冷え込みは想定しにくい状況です。

さらに、家計の懐具合を左右する所得環境は、賃金の上昇に支えられて、良好な状態が保たれています。賃金上昇率に先行する自発的離職率は、今後の賃金の安定的な伸びを示唆しており、特に不安は感じ取れません。

ミクロの企業業績についても、マクロの景況感と同様に強弱の見方が分かれています。米主要企業(S&P 500)の2019年通期の業績見通しは、現状で3%程度の増益予想(リフィニティブ調べ)となっていますが、悲観派の見立ては減益予想です。

これに対しての反論としては、これまで業績下方修正を主導してきたハイテク・セクターの見通しが改善しつつある点を指摘できます。この傾向が続けば、S&P500全体の業績見通しの押し上げにつながるとともに、米国株のもう一段の水準切り上げへの期待が高まります。次回の決算発表シーズンまでの間は、米国株にとっての充電期間と位置付けられるでしょう。

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