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景気減速に負けない“真の「下町ロケット」銘柄”を探し出す

これが“リアル佃製作所”の7銘柄だ

機械業界の外需に陰りが生じています。工作機械の受注状況は、2018年10月以降、前年同月比でマイナスに転じ、2019年2月まで続いています。背景としては、スマートフォン新モデルの設備投資減少や、米中貿易摩擦に起因する中国を中心とした設備投資の手控えなどが考えられます。

このような中、人気ドラマ「下町ロケット」の佃製作所のように、ニッチな分野での強みを武器に、厳しい事業環境を乗り越えて成長するポテンシャルのある機械関連メーカーをご紹介したいと思います。


真の「下町ロケット」銘柄とは?

「下町ロケット」は、池井戸潤氏原作の小説で、2015年10~12月と2018年10月~2019年1月の2度、TBSでドラマ化されました。宇宙科学開発機構の研究員だった主人公が、亡くなった父の経営していた中小企業・佃製作所の社長となり、大企業をも凌駕するバルブ制御技術や研磨技術など、ニッチな技術を武器に、道を切り開いて行く物語です。

このドラマでは、大手農業機械メーカー・クボタ(証券コード:6326)の自動トラクターなど、機械メーカーの製品が何社か取り上げられました。工作機械メーカー・スター精密(7718)の小型自動旋盤は佃製作所内のシーンで映りましたし、イワキ(6237)の人工心臓用耐久試験装置は人工弁の耐久試験のシーンで登場しています。

ドラマに登場する製品の機械メーカーもニッチな分野で高い市場シェアを有していますが、下町ロケットの佃製作所が自ら需要を切り開くことができているポイントとしては、「自社製品に社会的ニーズがあることによる新需要開拓」「新技術による新市場開拓」の2点を満たしているためでしょう。

下町ロケット銘柄

このような観点に当てはまる銘柄として、前者では日東精工(5957)、エスティック(6161)、技研製作所(6289)の3社、後者では日特エンジニアリング(6145)、ヤマシンフィルタ(6240)、日精エー・エス・ビー機械(6284)、鈴茂器工(6405)の4社に着目しています。

省人化や防災意識の高まりが追い風

7社それぞれの技術的な強みをご紹介しましょう。

日東精工は京都府綾部市にあるねじ締めロボットメーカーです。極小の精密ねじの製造技術を活かして、ねじ締めロボットへと製品展開を強化しています。ニーズに応じたねじ締めロボットのカスタマイズで、省人化需要を開拓しています。

エスティックは大阪府守口市にある電動締結工具メーカーで、国内シェア5~6割を有しています。独自の電動ねじ締結技術(パルス締結)で電動ハンドナットランナを開発し、工具の電動化の新需要を開拓しています。

技研製作所は高知県高知市にある建設機械メーカーで、圧入式杭打機で国内シェア9割を有しています。無振動、無騒音、コンパクトを強みとした圧入式杭打機を開発し、防波堤の整備などの防災意識の高まりを背景に、需要を切り開いています。

圧倒的なシェアを支える技術力

日特エンジニアリングはさいたま市にある自動巻線機メーカーで、世界シェア3割強を有しています。顧客のニーズに対応できる研究開発力で、自動巻線機だけでなく、組み立て・搬送を扱う特注機へと製品展開を強化しています。

ヤマシンフィルタは横浜市にあるフィルタメーカーで、建設機械用油圧フィルタでは世界シェア7割です。建設機械メーカーへの要望への対応力を活かして、他用途向けの新製品「ナノフィルタ」を開発し、新市場開拓に努めています。

日精エー・エス・ビー機械は長野県小諸市にあるペットボトル成形機メーカーで、世界シェア5割以上を有しています。2つの製造工程を1台で扱える1ステップ機による製造工程の短縮が強みですが、新技術「ゼロ・クーリングシステム」を開発し、さらなる短縮を可能にしました。

鈴茂器工は練馬区にある米飯加工機メーカーで、小型寿司ロボットでは国内6~7割のシェアを有しています。ご飯をふっくらした状態で正確に計量し盛り付けることができるシャリ弁ロボを開発し、省人化需要を開拓しています。

これら7社のいずれも、新需要、新市場を開拓するポテンシャルを有している点では共通しており、自ら需要を切り開く今後の動向に着目しています。

<文:いちよし経済研究所 企業調査部 高辻成彦>

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