はじめに

【支給】の欄をチェックしよう!

次に確認するのは「支給」の欄です(図の2)。支給欄の数字は手取りにプラスになるものです。

チェック4 企業型確定拠出年金選択制が導入されている場合(図のア)

勤務先が「企業型確定拠出年金」制度を導入していて、さらに「選択制」である場合に考えられるケースです。企業型確定拠出年金とは、退職金制度の一環として、毎月決まった掛金を企業が拠出し、そのお金を従業員が自身で運用しながら老後資金を積み立てていく制度です。

選択制は掛金を手当として毎月受け取るか、確定拠出年金として受け取るか、どちらにするかは従業員が決めることになっています。もし手当として受け取る場合は、図のようなライフプラン手当(会社によって手当の名称は異なります)が支給されますが、確定拠出年金を選択した場合はその手当はなくなります(または減額となることもあります)。

いままで確定拠出年金をしていなかったけれども、今年度から始めることにしたときは、その掛金分だけ手当が減るまたはなくなることになります。

チェック5 残業時間や休日出勤時間の変化(図のイ)

ポピュラーではありますが、一番手取り額の上下に影響を与えやすいのは、残業時間や休日出勤時間の変動です。例えば、3月に所定時間外の労働が多かったけれど、4月以降少なくなったときは、4月に基本給があがったとしても手取り額が変わらない、もしかしたら減ってしまうこともあります。

このように残業や休日の労働に対する手当は、当てにならないお金です。このような手当については生活費の基盤と考えず、貯蓄などに回せる余裕資金として家計を考えるのが賢い家計運営の第一歩です。


大切なことは、「給与明細に興味を持つ」ことです。

手取り額が「なんか増えたなあ」「なんか減ったなあ」ではなく、毎月、ひとつひとつの項目の数字が前の月と比べて変更がないかチェックをするのが大切です。変更があった場合は、会社の規定が変わっていないか、社会保険料率などの変更はないか、個人の状況が変わっていないかを考え、それでもわからない場合は遠慮せずに人事担当者に聞いてみましょう。

自分の大事な「時間」「身体」「精神」を費やしている対価が給料です。その内容に納得ができなければ、働く意欲も失われてしまいます。チェックをすることで、社会保険や税金の制度への理解も深まるので、これを機に、給与明細チェックの「通」になってもらえればと思います。

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