卵を1つのカゴに盛るな――。失敗しにくい投資の鉄則として勧められることの多い「分散投資」の必要性を訴えた相場格言です。

しかし、投資初心者が複数の銘柄に分散して投資するのは至難の業。それなりの資金量が必要ですし、投資に関する最低限の知識も欠かせません。“投資のプロ”に運用を任せる「投資信託」をコツコツ購入するのも一法ですが、任せきりだと投資に関する知識やノウハウが身に付きにくい面も否めません。

そんなジレンマを解消してくれるかもしれない新サービスを、SMBC日興証券が3月29日にスタートさせました。このサービスの指南役は、最近流行りのAI(人工知能)。日興証券によると、AIを活用した個人向けの投資情報サービスは日本初だといいます。

AIが指南する投資家向けサービスとは、どんなものなのでしょうか。実際に体験してみました。


どんな機能が使えるのか

SMBC日興証券がAIベンチャーのHEROZ(ヒーローズ)と共同開発した、個人向け投資情報サービス「AI株式ポートフォリオ診断」。オンライン取引である「ダイレクトコース」の顧客向けに3月29日から無償提供されています。

このサービスを利用すれば、顧客のリスク許容度に応じて、どの株を買うべきかなどをアドバイスしてくれます。具体的には「新規ポートフォリオ(金融商品の組み合わせ・構成)の提案」と「保有するポートフォリオのリバランス(入れ替え、資産の再分配)提案」の2つが主な機能となっています。

新規ポートフォリオの提案では、顧客がまず自分で投資金額を入力し、購入を検討している銘柄を1つ選択します。そのうえで、いくつかの質問に答える形で、自分のリスク許容度を診断します(下図)。

図1
投資金額などの条件を入力

すると、許容度に合わせて、自分で設定した投資金額の中で、事前に選んだ1銘柄と相性の良い銘柄の組み合わせをAIが推奨・提案してくれます(下図)。推薦銘柄は、AIが企業の決算データや株価データ(始値、高値、安値、終値、出来高の日足時系列)から学習して弾き出した、1ヵ月先の収益性のスコアから予測・判断しています。

図2
新規ポートフォリオを提案

一方、リバランスの提案では、すでに保有している銘柄の状況を同じ要領でAIが判断(下左図)。そのうえで、期待できる収益とリスクのバランスを考慮して、新たな複数のポートフォリオを提案してくれます(下右図)。

図3
保有残高から現状を診断(左)。追加投資金額などを入力してリバランスを診断

ダイレクトコースに口座を持ち、銘柄を保有していれば、他社で保有している株式の情報も含めて診断することができます。過去のデータを用いた検証結果によれば、AIの推薦した上位10銘柄を運用した場合、約8年間で資産が12.99倍に増える計算になったといいます。