はじめに

足元は上値の重たい日本株相場。日経平均株価は3月から2万2,000円の壁に跳ね返されています。4月8日の取引開始直後の株価2万1,900円のいわゆる「寄り天」をピークに、方向感の定まらない状態です。

相場全般が足踏みしている要因の1つは、世界景気の同時減速懸念の高まりです。米中貿易摩擦が重くのしかかります。英国の欧州連合(EU)離脱、いわゆる「ブレグジット」の行方が流動的なことも、世界経済の先行き不透明感を強めています。

こうした状況下、国際通貨基金(IMF)が最新の世界経済見通し(WEO)を4月8日に発表しました。実はこの最新のWEOに、多くの市場関係者が注目しています。過去に世界の株式市場のトレンド転換を示唆していたことがあるからです。


WEOは3期連続の下方修正

IMFがWEOを公表するのは毎年1、4、7、10月と四半期ごと。4月8日に発表した最新のデータは、世界景気の下振れリスクの高まりを裏付ける結果となりました。それによると、2019年の世界全体の成長率予測は3.3%。1月公表分の数字から0.2ポイント引き下げました。

下方修正に踏み切るのは3期連続。昨年7月時点では3.9%の伸びを見込んでいましたが、同年10月には3.7%、今年1月には3.5%と、いずれも0.2ポイントずつ引き下げていました。

WEO

米国、ユーロ圏、日本、英国など、主要国・地域の経済見通しも下方修正しました。特に修正の引き下げ幅が目立つのは、ドイツとイタリアです。ともに0.5ポイントの大幅な下方修正となりました。

ユーロ圏屈指の経済大国であるドイツは、ディーゼル車の排ガス規制対応への遅れに伴う自動車生産の落ち込みなどに直面。財政面での不安を抱えるイタリアは、景気後退局面入りが指摘されています。

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