2012年12月から始まった景気拡張期間が今年1月で74ヵ月と、いざなみ景気の73ヵ月を抜いて戦後最長になったという見方があります。その一方、戦後最長更新は“幻”で、2018年10月・11月頃をピークに後退局面入りしているという見方をする人もいます。

このように景気は微妙な局面にありますが、今年の桜は「景気が拡張局面にあること」を示唆しているようです。その理由を解説します。


海外発“下振れリスク”の現状

最近の景気動向は冴えない状況が続いています。筆者は、戦後最長の景気拡張期間は更新をした可能性のほうが高いとみています。より正確には「悪くはなっていないので、景気拡張期間は続いている」という状況でしょう。景気は足踏み状態にあるとみています。

今回の景気回復は、高度経済成長期の「いざなぎ景気」などと比較して経済成長率や賃金の伸びが低く、“実感なき景気回復”という感が強い状況です。また、米中貿易摩擦問題、中国経済の動向など、海外発の下振れリスクがあります。こうした環境下、1月分の鉱工業生産指数の前月比は▲3.4%(4月17日の年間補正で▲2.5%に変更)と大幅減少になりました。

政府は1月の「月例経済報告」で、景気の総括判断を「緩やかに回復している」に据え置きました。この判断からみると、景気拡張期間が1月で74ヵ月と、いざなみ景気の73ヵ月を抜き、戦後最長になった可能性があることになります。

直近3月の「月例経済報告」(4月分は18日公表)でも「このところ輸出や生産の一部に弱さもみられるが、緩やかに回復している」と、基本的には「緩やかに回復している」の判断を継続しています。

日本経済研究センターが毎月実施している日本のエコノミストのコンセンサス調査である「ESPフォーキャスト調査」では、2017年6月以降、偶数月に「半年から1年後にかけて景気上昇を抑える(あるいは景気を反転させる)可能性がある要因(3つまで)」を特別調査として実施しています。

2019年4月調査によると、「中国景気悪化」を挙げた人が26人で第1位ですが、2月の31人からは5人減りました。「米国景気の悪化」が23人で第2位、「円高」が16人で第3位です。4月調査から新たに加わった「消費税率引き上げ」が13人で、「保護主義の高まり」の11人をかわし、第4位になりました。

なお、先行きに関して、明るい材料もあります。「ESPフォーキャスト調査」2019年2月特別調査では中国製造業PMI(購買担当者景気指数)見通しを尋ねました。結果は年央以降に期待が持てる内容でしたが、さっそく3月分の実績が50.5と、景気判断の分岐点の「50」を上回りました。中国政府の経済対策で中国景気悪化に歯止めがかかることを期待したい局面です。

「下方への局面変化」で踏みとどまるか

そもそも、にわかに「景気はすでに後退局面ではないか」という見方が浮上したのは、鉱工業生産指数などの悪化を受けて、1月分の景気動向指数が弱かったためです。

1月分一致CIの前月差が大幅下降になりました。そして、7ヵ月後方移動平均も下方修正の条件を満たしました。機械的な基調判断は「足踏み」から「下方への局面変化」に下方修正されたのです。

「下方への局面変化」は、事後的に判定される“景気の山”がそれ以前の数ヵ月にあった可能性が高いことを示す判断です。もう一段階、判断が下方修正されると、景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」になります。

「悪化」になる条件は、(1)一致CIの3ヵ月後方移動平均が3ヵ月以上連続して下降すること、(2)当該月の一致CIの前月差が下降すること、の2つを満たすことです。2月分速報値では、一致CIの3ヵ月後方移動平均が4ヵ月以上連続して下降したのですが、一致CIの前月差が上昇だったので、「下方への局面変化」で踏みとどまりました。

4月分になると、一致CIの前月差がよほど大幅な下落でなければ、非常に弱かった1月分が抜けるので、3ヵ月後方移動平均は上昇に転じることが見込まれます。3月分で一致CIの前月差が下降にならなければ、「悪化」への下方修正は回避され、景気後退説が弱まることになるでしょう。3月分の製造工業生産予測指数の前月比がプラスなので、その可能性は大きそうです。