はじめに

株価と利益の関係

さて前回、「純資産に対する利益率ROEと、株主にとっての収益率は違う」という話をしました。なぜなら、株主はその純資産についた値段、つまり市場でついた株価で投資するからです。そしてその株価は純資産の価値と同じではないからです。

ROE(純利益/純資産)が20%ある会社に純資産の2倍の株価(PBR2倍)で投資すると、株主にとっての収益率は20%の半分の10%になります。純利益に20、純資産に100、株価を200、と入れてみてください。株主にとっての収益率は20÷200=10%というわけです。

この10%は「株式益回り」という呼び名がありますが、実はあまり使われていません。その代わり、PERという指標を使います。これはPrice Earnings Ratio の頭文字をとったもので「株価収益率」とも言います。とてもポピュラーな指標です。実は先ほど出た益回りの分子と分母を逆にしたものなのです。

ですから「株価/一株当たり純利益」で計算され、単位は%ではなく「倍」となります。利益の何倍の値段がついているか、という指標なのです。

「利益」の前に「一株当たり」とつくのは、「純資産」や「純利益」が会社全体のそれを表すのに対し、株価は株主の持ち分を小分けにしたものを表すからです。どちらかに合わせなくてはなりませんよね。株価を「株主の持ち分全体」についている価額として表すならば、それは「時価総額」です。[株価×発行されている株数]で計算されます。

先ほどのROE20%、株式益回り10%の株式を例にとると、この株式のPERは10倍、ということになるわけです。ただ「何倍」と聞かされても、高いのか安いのか、判断の基準がよくわかりませんね。ほかの銘柄の株式と比べることができるだけです。

でもそれを「益回り」に直して考えると、世の中一般の金利水準や、事業の利益率と比較することができます。「10倍の株価で投資する」というより「10%の事業に投資するようなもの」と考える方が、イメージが湧くのではないでしょうか。

この「PER」は、株価が高いのか安いのかを測る指標として最もよく使われていると思います。どうして「PER」がそんなに好まれるのでしょうか。そのお話は、また回を改めて。

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