はじめに

イタリアの大手コンサルティング会社ジョブ・プライシングによると、2017年におけるイタリアの平均月収入は1,580ユーロ(約20万円)とのこと。これ、初任給ではなく全世代の平均月収です。

一方で、同年の日本の平均年収は約432万円(国税庁民間給与実態統計調査による)です。税金額は自治体によって変わりますが、ボーナスを考えずざっくり平均すると月々の手取り額は28万円ほど。日本と比べるとイタリアの収入額は約3分の2という計算になります。

これだけ収入に差があるとお金の使い方も大きく変わりそうです。イタリア人はどのような生活を送っているのでしょうか。


収入に対してイタリアの物価は安くない

冒頭のような収入の比較をすると、そもそも物価が違うのではと考える人もいるかもしれません。しかし、イタリアの物価は収入差ほど安くないのが現状です。

例えばイタリアで外食をすると、カジュアルなレストランでも一人あたり20〜30ユーロ(約2,500〜3,750円)ほどが相場です。リーズナブルな外食の代表格であるピザも、飲み物やサービス料を加えると10ユーロ(約1250円)はかかります。

ちなみに会社員が昼休みに利用するランチもやはり10ユーロほど。日本の牛丼やそばのように、ワンコインで手軽に食べられるランチの選択肢はほぼありません。

それなら住居費はどうかというと、これも決して安くありません。特にローマやミラノなどの大都市ではワンルームのアパートでも500〜700ユーロ(約63,000〜88,000円)ほどが相場で、家族で住めるような部屋数のあるアパートとなると最低でも800ユーロ(約10万円)から。あくまで体感ですが、家賃の相場は東京とあまり変わらない印象です。

このように、収入額から考えるとイタリアの物価は安くない……どころか高すぎるとも言えます。それなのに、どうして生活は破綻しないのでしょうか。その理由を少し探ってみましょう。

【理由1】イタリア人はあまり外食しない

収入額から考えると高すぎるイタリアの外食費。そのせいか、イタリア人はあまり外で食事をしません。平日のランチは家から持ってくる人が多く、またレストランに出かけるのは誕生日や記念日など特別な日だけ。「今日は疲れたから」といって、家事を休むために外食する人はあまりいません。

また、イタリア人は食の安全にこだわる傾向が強く、味付けが濃く何が入っているか分からない外食を敬遠する人も少なくありません。もちろん外食するとお金がかかりすぎるという事情もありますが「日々の食事は自分たちの手で作る」というのが基本的な姿勢なのです。

【理由2】生鮮食品は比較的安価に手に入る

イタリアは外食や住居にかかる費用は日本とあまり変わりませんが、生鮮食品は比較的安価に手に入ります。特に旬の食材は安く、野菜はキロ1ユーロ以下で売られているのもよく見かけます。

上記は近くの市場で撮った写真ですが、ズッキーニ約200円、パプリカ約250円、ナスは約125円です。そんなに安くない……と思いきや、実はこれは全て1コでなく1キロあたりの値段です。ちょっとびっくりしませんか?

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