はじめに
首都圏のJRや私鉄各社では、前回ご紹介したように特急用車両を使用した通勤・通学時の着席サービスが行われています。座席指定に使用できる専用車両を保有している会社では、朝晩の通勤・通学時間帯は列車名を「モーニングウェイ」「おはようライナー」「湘南ライナー」「ホームウェイ」「イブニングライナー」などとして、通勤・通学時間帯の着席サービスを実施しています。
昼間時間帯や週末に座席指定の特急列車として使用する車両を保有しているからのサービスとなりますが、近年は通勤用のロングシート車のみで運転される会社・路線にも着席サービスが拡大されるようになりました。例えば東急電鉄大井町線や京王電鉄京王線、東武鉄道東上線など、ロングシートの通勤用車両のみで運用されていた路線ですが、ロングシートとクロスシートになるデュアルシートを採用した車両の登場により、着席サービスができるようになりました。
また、全車自由席の「特快」にクロスシート車が運用される京浜急行では、朝晩に座席指定制の列車を運行しています。今回は疲れて帰宅する時に利用したい通勤タイプの車両を使用した着席サービスをご紹介します。
トップの写真は拝島ライナー
東武東上線「TJライナー」&京王電鉄「京王ライナー」
東武鉄道は浅草から日光・鬼怒川温泉方面へデラックス特急列車を運行していますが、池袋~森林公園~小川町~寄居間を結ぶ東上線は50年以上に渡ってロングシート車を使用した通勤路線でした。
2008(平成20)年6月、沿線住民からの座って帰りたいという声に応えて登場したのが、50090系車両を使用した「TJライナー」です。関東大手私鉄では初となるデュアルシートを装備した車両で、クロスシートにして座席定員制用、ロングシートにして通勤用として使用できます。
現在、池袋~森林公園・小川町間に平日下り13本(18時から0時まで30分間隔)、土休日下り9本、森林公園~池袋間に平日上り2本が運行されています。池袋発着の場合、料金は下りが310円、上りは410円(ふじみ野乗車は310円)となります。
京王電鉄京王線はロングシート車のみが使用されてきましたが、2018(平成30)年2月にデュアルシートを装備した5000系車両が登場しました。
まずは新宿~京王八王子間に5本、新宿~橋本間に5本の下り「京王ライナー」の着席サービスが開始されましたが、増発を望む声に押されて2019(平成31)年2月22日から朝時間帯の上り列車および土休日の下り列車の増発を図っています。
現在、新宿~京王八王子間に平日下り5本・上り2本、土休日下り6本・上り1本、新宿~橋本間に平日下り5本・上り2本、土休日下り7本・上り2本が運行されています。新宿駅発着の場合、指定席料金は400円(車内で精算すると700円)となります。