はじめに

東京の蒲田といえば、どんなイメージがあるでしょうか。映画の『蒲田行進曲』、羽田に近い、下町などの印象を持っている人も少なくなさそうですが、いずれにせよ、あまり観光地のイメージがない街です。

しかし、そんなイメージが覆る日もそう遠くないかもしれません。きっかけは、4月19日に京急蒲田駅近くにオープンしたホテル。いったい、どんな魅力を秘めたホテルなのでしょうか。


玄関では古い旋盤機がお出迎え

京急蒲田駅の東口から徒歩3分ほどの商店街の中に、そのホテルはありました。玄関では、工作機械である大きな旋盤機が展示され、お出迎えしてくれます。

この旋盤機は実際に大田区内の町工場で使われていたもので、工場の廃業を機に譲り受けたとのこと。年代は不明ですが、大変古いものだそうです。

旋盤機
ホテルの玄関に飾られた旋盤機

「ホテル オリエンタルエクスプレス 東京蒲田」は町工場とコラボレーションしたという珍しいホテル。フロントの天井では、空調の配管などがあえて見えるようにして、町工場っぽさを出しました。

各階のエレベーター横に飾られるフロアサインは、10社以上の町工場の技術の粋を集めて作られたもの。たとえば1階の「1」というフロアサインは、アクリルを削り出したものに金属をはめ込む技術が使われています。非常に精密に削り出されているため、接着剤を使わなくても外れません。

フロアサイン
4階のフロアサイン。薄い金属を美しく折る技術が使われている

4階のフロアサインのテーマは「折る」で、スチールのプレートを歪ませずに美しく折り、溶接する技術を活用。他の階のサインは、掘削や研磨、曲げの技術が使われています。どれもうっとりとするほど美しく、アート作品のようです。

朝食は職人の弁当を再現

居室空間も個性的。廊下の壁には、工業用の「ガルバリウム」と呼ばれる鋼板を使用しています。

部屋のヘッドボードに高い強度を持つ工業用の合板を使ったり、壁の一部には木片とセメントを圧縮した資材を利用したりし、工場らしさを出しました。機能的でスタイリッシュな雰囲気です。

朝食ブッフェにも工夫を凝らしました。おにぎりや卵焼き、煮物などのおかずを、自分でお弁当箱に詰めて、食べることができるのです。

「日本の食体験を楽しんでほしい」と、町工場の職人が食べるお弁当をイメージした朝食にしたそう。地元の老舗の海苔や深蒸し茶もあり、「お弁当」という日本的な体験と、蒲田の特産品が両方楽しめるということです。

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