はじめに
マクロで使う場合
つぎにマクロの場合はどうでしょうか。物価指標の代表格である消費者物価指数を考えてみましょう。消費者物価指数を正確に予測しようとするならば、やはりこの指標を構成する項目を細かく見ることが重要になります。
大きく分けると、比較的変動が大きく、結果に影響を与えやすい生鮮食品とエネルギー価格を取り出して分析するのがいいでしょう。そして、もう少し詳しく分析していくと、より正確性が上がります。
たとえばエネルギー価格は電気代、都市ガス代、プロパンガス、灯油、ガソリンの価格に細かく分けられます。更に内訳をそれぞれ分析していきます。内訳の1つである電気代を例に、どのように分析するかというと、電気代を更に因数分解します。電気代は原油相場の影響を受けるので、原油価格を1つの因数としてみますが、原油価格はドル建てで取引されるため、つぎにドル円相場を考慮します。そして、原油価格が実際に電気代へ反映されるまでの時差を考慮すると、より正確な予測が可能になるのです。実際に、原油価格を円建てに換算し、更に8カ月ほどずらすと電気代の推移とかなり相関が高くなるのです。
分析をする意味があるのか
数字を因数分解して、自分なりの予測の精度を高めていく方法について書いてきましたが、そもそも将来を正確に予測できないのに、このような分析をして意味があるのでしょうか。筆者は意味があると思っています。
たしかに将来を正確に予測できませんし、時として株式市場の値動きは理解を超えた動きをすることがあります。どう考えても過熱していると思える株価水準でも、どんどんと上昇していくこともありますし、逆に理論的にはあり得ないぐらい割安でも全く買われない局面もあります。
そのような時に、自分としてはしっかりと分析をしたうえで、本源的な価値を見抜き、市場でついている価格との差額を取りに行っていると信じられれば、相場の動きに慌てて流されないようになるかと思います。これまでも書いてきましたが、資産運用をするために投資をするのであれば、長期投資が大前提になります。相場が日々上下に動く中で、その動きに気持ちを惑わされない1つの方法として、しっかりと分析をして投資するということが挙げられるでしょう。