はじめに
高額消費は打撃が大きい可能性
「連休後の消費反動減」は、「連休中の消費増」や消費税引き上げ前後の「駆け込み需要」「反動減」と比較して、事前にあまり話題となっていない分、影響を受ける業種・銘柄に事前想定が織り込まれていない可能性があるでしょう。投資のチャンスかもしれません。
考えられるのは、次の2つです。
(1)連休中に期待ほど売り上げが伸びず、反動減はそれなりにある
(2)連休中の恩恵はほとんどないかマイナスで、反動減もある
(1)の例は、百貨店だと思います。大手百貨店4社の連休中の売上は前年同期比1ケタのプラスでした。しかし、「期待外れ」とか「伸びは小幅」という新聞報道が多いです。連休後の反動減は高額品ほど大きくなる可能性が高いので、百貨店は厳しそうです。
(2)のキーワードは「不要不急」と「普段使い」です。前者では、衣料関係や家電量販店は「今買わないと生活に困る」という商品を扱っているわけではなく(壊れて買い換える場合は除きますが)、連休後に敬遠されやすい業態です。
連休中に改元セールなどでうまく売り上げを増やせたところは反動減と相殺できますが、それ以外はマイナスとなる可能性が高そうです。夏物衣料やエアコンが売れる時期は梅雨明け以降とすると、いったんはマイナスの月次実績が出てくる企業が多いかもしれません。
恩恵の少なかった「普段使い」は要注意
もっと深刻なのは「普段使い」です。一番わかりやすいのは、居酒屋やラーメン店などです。連休でお金を使った直後、飲みに行く回数は減る人が多いのではないでしょうか。飲みに行ったとしても、ビールのお代わりは減る(=客単価が落ちる)可能性は普通にあるでしょう。
居酒屋で飲まずに、外食チェーンの「ちょい飲み」で済ませるなどの動きも考えられます。コンビニで買う時も、お菓子を減らしたり、客単価が何となく下がるということもありそうな気がします。
逆に、食品スーパーなど生活必需品を扱う業態は、比較的マイナス影響が少ないかもしれません。連休後に財布のヒモが堅くなったとしても、食事を抜かないとヤバいというところまでは行かないからです。
小売・食品業界と外食産業は、月次売上を公表している企業が多く、5月実績が6月にわかります。2月期や8月期決算の企業も多く、6月下旬から7月に四半期決算も出てきます。連休とその後の反動減の明暗がすぐに出てくるので、その結果で株価が動く銘柄もあるでしょう。「反動減」が出そうな銘柄を今から探してみるのも面白いと思います。
<文:ストラテジスト 田村晋一>