はじめに
割安は分かりやすい指標
過去にも書いたことがありますが、株価を評価する際の指標の中で、割安という考え方は非常にわかりやすいものです。細かくは書きませんが、1つの例を見てましょう。たとえば、純資産が200億円の企業があるとします。リーマンショックのような世界的な金融危機の煽りを受けて、同社の株価も大きく下がり、時価総額が150億円まで下落したとします。あくまで「理論上は」という話ではありますが、この場合はこの企業の株価はあり得ないレベルで割安ということになります。なぜなら、理論上は150億円で100%の株を買い切り、そのまま売ってしまえば200億円になり、ノーリスクで50億円のリターンを得られるからです。
「理論上は」と何度も言っているのは、実際に100%の株式を買うのは難しかったり、資産の売却にもコストはかかるからなのですが、ここでは割愛します。簡易的な計算ですが、割安かどうか判断することは大事だと考えています。
そこで、割安な株価が付けられている企業の中で、なおかつ「利益の成長期待が大きい」というもう1つの評価軸で見てみるのです。実際に増収増益の企業で、そんなに割安に放置されている企業なんて存在するの?と思う人もいるかもしれません。数字上そのような企業は現時点でもありますし、世界同時株安のような局面になればその数は増えてきます。
しかし、繰り返しますが相場の先行きは誰にもわかりません。優良割安株であっても、世界的に株式市場が大きく下落すればつられて大きく下落するかもしれませんし、他にもっと上昇している株があれば、そっちにお金は流れ、割安のまま放置されてしまうでしょう。だから、「長期」的な観点で投資をして、時間を味方につける必要があるのです。
自作のシナリオは過信しない
誰も予測できないから、シナリオを立てて相場を予想することは無駄だという人がいます。それはそうかもしれませんが、筆者は無駄ではなく、データを分析したり、実際に取材をしてみたりして、シナリオを立てること自体は重要な作業だと思っています。
自分の立てたシナリオを念頭に置きながら相場を見ると、当たることも外れることもありますが、当たった時も外れた時も何が正しくて、何が間違っていたのかを検証し、それを繰り返していくことで、正確に予測はできなくとも、大きく誤った判断は避けられるようになると思います。
問題なのは自作のシナリオに固執すること。前述の通り、誰にも正確に予測はできないと念頭に置いた上で、それでもトレーニングの一環としてシナリオを立てていく感覚でデータ分析などを行うのがよいのでしょう。
相場は上下に動き続けますし、予想が当たることもあれば、外れることもあります。しかし、そのような波に惑わされずに、割安で成長期待できるものを長期で保有する投資スタイルが非常に重要だと覚えておきましょう。