はじめに

青汁王子や銀座の高級クラブのママによる脱税事案が、最近各種メディアで取り上げられました。脱税という言葉そのものはよく耳にするので、なんとなく身近なものに感じている人がいると思います。

一方で、脱税とは一体何なのか? 誰がどうやって見抜いているのか? 自分の周りや、自分の身にも起こりうる話なのか? 具体的に質問されると、うまく答えることができない人が多いのではないでしょうか。

今回は、知っているようで知らない「税務署の不正の見抜き方」について、3回にわたってお話していきたいと思います。


確度の高さによって異なる2種類の税務調査

脱税とは、その名のとおり、税を脱する、つまり“税金逃れをする”ことを意味します。

税収は日本という国を国民全員で運営するために必要な経費です。逃れようとする人がいたら、厳に取り締まらなければなりません。脱税の取締まりのために、国税局や税務署によって調査が日々行われています。これが、みなさんも一度は耳にされたことがあるはずの言葉「税務調査」です。

税務調査というと、会社に突然黒ずくめの男たちが乗り込み、「手を止めてそのまま動くな!」と令状を見せ、調査を開始するテレビドラマや映画のワンシーンを想像するかもしれません。

税務調査には「強制調査」と「任意調査」の2種類があり、ドラマや映画のワンシーンでよく見るのは、強制調査の方です。伊丹十三監督の映画『マルサの女』などで有名になった、国税査察部による調査です。強制調査とは、悪質な脱税事案について、裁判所の令状をもって強制調査を行うもの。脱税者を検察庁に告発するために調査が行われます。したがって、事前に十分な証拠が集められた事案に限られます。

これに対して、任意調査は、脱税の証拠が不十分な事案でも、独自の情報収集の結果、あやしいと思われる案件について調査するものです。あやしいと思われる案件とは、最近だと、国際取引、富裕層がらみ、金融取引や仮想通貨取引など、金額の大きさや悪質性によって、ターゲットが絞られる傾向があります。会社に定期的に入る調査も任意調査です。

任意調査は、任意という言葉がついているので「応じなければいいのでは?」という意見もあるでしょう。しかし、実際は調査に応じる義務があります。拒否したり、虚偽の回答をしたりする場合には、罰則規定が定められています。なにより、調査に応じない時点で、何かを隠そうとしているのではないかと疑われてしまいます。

国は、この2種類の調査によって脱税者を取り締まっているのです。

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