はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ

今回の相談者は、早期リタイアを考えている49歳の未婚女性。退職後は、自宅マンションを売却して、実家に帰ることも視野に入れています。このまま50歳でリタイアをしても、老後資金は足りるのでしょうか。FPの渡邊裕介氏がお答えします。

早期退職を考えていますが、老後の生活費が足りるかどうか知りたいです。高齢の母が実家におり、場合により現在の自宅マンションを売却(売却相場は現時点で6000万円程度)し、実家に戻ることも想定しています。実家は数年前に建て替えており、ローンはありません。貯蓄、投資残高の他に企業型確定拠出年金の残高が850万円あります。マッチング拠出で、事業主掛金と合算し満額の2.75万円まで利用しています。その他、50歳時点での退職一時金の受け取り額は2000万円程度。他に確定給付企業年金が支給される予定です。


<相談者プロフィール>
・女性、49歳、未婚、一人暮らし
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(マンション)
・毎月の世帯の手取り金額:58.7万円
・年間の世帯の手取りボーナス額:なし
・毎月の世帯の支出目安:35.3万円


【支出の内訳】
・住居費:9.3万円(管理費2万円含む)
・食費:3万円
・水道光熱費:1.3万円
・教育費:なし
・保険料:1.8万円
・通信費:1.4万円
・車両費:なし
・お小遣い:10万円
・その他:8.5万円


【資産状況】
・毎月の貯蓄額:23万円
・現在の貯蓄総額:100万円
・現在の投資総額:1800万円
・現在の負債総額:22万円(住宅ローン残債)
(住宅ローン:物件購入額4000万円、借入額2000万円、残債22万円)


渡邊: ご相談ありがとうございます。ファイナンシャルプランナーの渡邊です。

早期リタイアのご相談ですね。リタイア後、ご自身にとって理想の生活を維持するためには、しっかりと準備することが必要です。今回のご相談者の場合は、リタイア時期が来年に迫っているので、現状で成り立つのかどうかシミュレーションしてみましょう。

リタイア後に必要なお金の求め方

早期リタイアした後の生活を成り立たせるためには、現在お持ちの資産と、今後得られるであろう収入の合計が、リタイア後の生活費など支出の合計を上回る必要があります。また、合わせて介護や病気などのアクシデントに備えることも必要となります。

(1)保有資産+(2)収入>(3)支出合計+(4)アクシデントへの備え

まず、保有資産ですが、マンションは売却できる前提で考えてみます。通常、不動産を売却する際、購入時よりも売却金額の方が高く、利益が出る場合、譲渡所得として所得税、住民税の課税対象となります。譲渡所得は、土地や建物を売った金額から、取得費、譲渡費用を差し引いて計算します。

ただし、居住用不動産の場合は、3000万円の特別控除というものがあり、3000万円までの利益については非課税となります。ご相談のケースですと、4000万円で購入して6000万円で売却とのことですので、売買手数料や印紙代等を考慮しても、課税対象からは外れるかと思われます。売却にあたっての諸費用については、今回は考慮しないで考えていきます。

すると、保有資産については、マンション売却の6000万円、預貯金と投資の総額1900万円となります。

(1)保有資産 =預貯金100万円+投資総額1800万円+マンション売却6000万円=7900万円

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