はじめに

仕事でもうひと頑張りしたい時に飲むエナジードリンク。炭酸が強く、すっきりとした喉越しでリフレッシュできるという人も多いのではないでしょうか。そんなエナジードリンクの新商品「コカ・コーラ エナジー」が7月1日に発売されます。

日本コカ・コーラがエナジードリンク市場に参入するのは、実は今回が初めてではありません。かつて「burn(バーン)」という商品を販売していましたが、現在は取り扱いを終了。なぜ再びエナジードリンクの販売に乗り出すのか、同社の夏季戦略発表会で理由と戦略を取材しました。


後味がガラナのコカ・コーラ

コカ・コーラ エナジーの発売は、4月からスペイン、ハンガリーなどヨーロッパで先行しており、日本は12ヵ国目。コカ・コーラのシンボルカラーの赤い缶には「Energy(エナジー)」の大きな文字がデザインされています。

中身はカフェインやガラナエキス、ビタミンB6などが配合されています。開けた瞬間にコカ・コーラの香りが漂い、飲むと少しガラナの味が強い印象です。

商品は、250ミリリットル缶で希望小売価格190円(税別、以下同)と、自動販売機限定の190ミリリットルで148円の2種類。全国のスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで販売します。

市場規模は4年で1.2倍に拡大

市場調査会社のインテージによると、コカ・コーラが参入する国内のエナジードリンク市場は2018年度の市場規模が855億円。4年前と比べて1.2倍に拡大しています。

実際にどんな商品が売れているかというと、スーパーやコンビニでの消費者の購買状況をデータベースにしたサイト「ウレコン」によれば、2~4月の3ヵ月間で最も売れた栄養ドリンク・エナジードリンクブランドは「デカビタC」で、「オロナミンC」が続きます。

国内の老舗ブランドに続き、アサヒ飲料の「モンスターエナジー」(平均販売価格188円)も3位に食い込んでいます。このシリーズは50位以内にカロリーゼロタイプやあっさりタイプなど6種類がランクイン。男女別の購買率を見ると、モンスターエナジーや「レッドブル」といった海外ブランドのエナジードリンクは男性の買う割合が高いのが特徴です。

各社のエナジードリンクがしのぎを削る国内市場に参入する理由について、日本コカ・コーラの島岡芳和コカ・コーラTMグループ統括部長は「国内のエナジードリンク市場は年間平均成長率が10%を超えていて、世界的に見ても有望な市場」と説明します。

burnの反省を生かせるか

一方で「最近は商品の新鮮味に欠ける印象がある」とも指摘。「エナジードリンクを飲む20代の若者は炭酸も好き。知名度が高いコカ・コーラブランドの強みを十分に生かせる」と強調します。

また、エナジードリンクを売り出すことで「以前はコカ・コーラを飲んでいたけれど最近は飲んでいない」という人に再び買ってもらいたいという狙いもあります。

付加価値の高いエナジードリンクは、他の炭酸飲料よりも店頭で値引き販売されにくく、メーカーにとっては高収益が見込める商品です。同社は2012年に海外のエナジードリンクブランド「burn」を発売しましたが、「競争が激しく、ブランド確立に苦戦した」(島岡統括部長)と分析します。

夏は冬に比べて炭酸飲料が1.5倍売れる書き入れ時。圧倒的な知名度のコカ・コーラブランドの投入で巻き返しができるのか、今年の夏の売れ行きが試金石となりそうです。

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