はじめに

「2拠点生活」と聞くと、どんな生活を想像しますか。

かつては、避暑地や海辺に別荘を持ち、仕事をリタイアした後の、時間とお金にゆとりのある人が楽しむもの、というイメージが強い時代がありました。しかし近年では、安価な住居を購入したり借りたりして、2拠点目の生活を楽しむ20~30代が増えているようです。

リクルート住まいカンパニーでは、こうした新しい層の2拠点生活者を「デュアラー」と命名しました。はたして、デュアラーの生活実態とはどのようなものなのでしょうか。


古民家での宴会を楽しむ週末

平日はビジネスアナリストとして都内や横浜に勤務している成田剛史さん。千葉県西部のベッドタウンで妻と娘の3人で暮らしています。

しかし毎週、週末になると、同県南房総市にある築約70年・600坪の古民家を訪れ、田舎暮らしを楽しんでいます。この古民家は7年前に数百万円で購入したもの。牛小屋だった一角を部屋に改造して映画を見られるようにしたり、風呂がなかったのでドラム缶風呂を作ったりして、2拠点生活を満喫しています。

奥さんが南房総の古民家を訪れるのは月1回程度、娘さんに至っては半年に1回ほど。それでも成田さんは、東京のサラリーマン仲間を招いてイベントを開いたり、近所の人を呼んで宴会を催したりと、独自の道を歩んでいます。

古民家を購入する前は、キャンピングカーでさまざまな土地を旅行していたという成田さん。でも最近はすっかり南房総に腰を据え、ご近所のデュアラー仲間と互いの家をリフォームし合う生活を送っています。

購入しなくても楽しめる

デュアラーには、成田さんのように2拠点目の住居を購入せずとも、なることができます。

都内の賃貸マンションで、共働きの夫と3歳の子供と暮らしている古後紘子さん。長野県茅野市蓼科に18平米・ワンルームの賃貸物件を借りています。月々の家賃は、駐車場代込みで2万円。自動車は現地に置きっぱなしにしており、週末に家族3人で新宿駅から電車で2時間かけて通っています。

蓼科を選んだのは、夏はマウンテンバイクを、冬はスノーボードを楽しみたかったから。これらの趣味を楽しむためには多くの道具が必要になりますが、古後さんは風呂場を物置代わりに活用しています。徒歩圏に温泉があるので、自宅の風呂場を使う必要はないのだそうです。

都内からの2時間の道のりは、ビールを飲みながら、まったり移動。蓼科の駅前に無料のシェアオフィスがあるので、平日のうちに終わりきらなかった仕事はこちらで済ませてしまいます。

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