はじめに
他人の懐事情は誰しも気になるものです。
上場会社が提出を義務付けられている「有価証券報告書」には、従業員の人数、平均年齢、平均勤続年数、それに平均給与が記載されているパートがあります。これを集計した「上場会社の平均年間給与」を5月27日、信用調査機関の東京商工リサーチが公表しました。
その内容を分析すると、予想通りの面々の中に意外な企業や知る人ぞ知る会社も上位に入っていました。どんな企業が上位にランクインしたのでしょうか。
全体平均は前年から7万円アップ
上場会社は約3,700社ありますが、今回の調査の対象は2,591社。2011年決算から連続して比較可能な会社だけを抽出していますので、途中で決算期を変更して決算月数が変則になった会社は除外されているのです。
また、記載されているのは連結全体ではなく、本体だけの数字。ですので、社名が「●●ホールディングス」などとなっている、いわゆる「持株会社」は集計から除いています。
持株会社は本体の事業を手掛けていないのが普通ですし、そこにいる従業員も社歴の長い社員が少人数いるだけというのが一般的な姿。平均給与も高めになり、全体の調査結果を歪めてしまう可能性があるからです。
こうした前提を踏まえた調査結果では、2,591社平均の年間給与は606万2,000円。前年から7万円上がったそうです。日本全体の平均が400万円ですので、やはり上場会社は給与水準が高いことがわかります。
上位10社中2社がM&Aコンサル
それでは、実際にどんな企業が上位に入ったのでしょうか。次ページの表が、平均給与水準の高い順に並べたランキングです。
1位はM&Aコンサルティングを手掛けるGCA。5年連続でのトップです。
従業員数は141名、平均年齢は37.9歳、平均勤続年数はわずか5.4年です。新卒も採用していますが、給与は年俸制。高額の報酬を稼ぎ、いろいろな会社を渡り歩くプロサラリーマンによる少数精鋭の会社を彷彿とさせます。平均給与には賞与も含まれていますので、大きな案件を仕上げた人が多く出た年には平均が上がることは間違いありません。
9位の日本M&Aセンターも、その社名の通り、M&Aのコンサル会社です。前年の順位は3位でしたので、6つ順位を落としましたが、安定的に1,200万円以上の水準を維持しています。