はじめに

課題解決手段としてのプログラミング

一方「課題解決手段としてプログラミングを利用できる」ためには、やはり具体的な「プログラミングスキル」を身につけることが非常に有用になります。

冒頭で紹介した「楽天のプログラミング研修必修化の可能性」の話は、IT企業の経営観点・マネジメント観点において、今後一つ有るべき方向性であり、非常に価値のある施策となるでしょう。

実際、IT企業の現場では、プロジェクトマネージャーやプランナー、マーケターのような多くの非エンジニア職種の方から、ちょっとしたデータの取得や分析をするために、「データベースからデータを集計する」や「分析のためのスクリプトやツールを開発する」といった細々した仕事がエンジニアに依頼されています。

このような状況を、私はよく「メラゾーマを使える魔法使いに、メラを連発させているような状況」という風に例えています。

きちんとしたスキルを持っているエンジニアは、より本格的なプロダクト開発やデータ分析基盤の開発など、本領を発揮できる領域を多く持っています。また、このようなタスクを依頼する側の人たちも、もっとスピーディに自由度高くトライアンドエラーをしたい、と考える人もたくさんいるでしょう。

組織やチームとして生産性の高い状況へ持っていくためにも、「読み書きそろばん」程度にプログラミングを手段として使え、仕事の効率化のために使えるプログラミングスキルを身につけることは非常に価値が高いと言えます。

具体的に学ぶ価値の高いプログラミングスキル

次に、もう少し踏み込んで、具体的に学ぶ価値の高いプログラミングスキルとはどのようなものかについても考えてみます。

既に上述したものもありますが、

・データベースを操作するために必要なSQLを扱えるスキル
・Google SpreadSheetで自由にデータ集計・分析するためのGoogle App Scriptを使えるスキル(JavaScriptの利活用)
・WordPressのカスタマイズを問題なくできるスキル
・ちょっとしたルーティンワークを自動化するスクリプトを書けるスキル

などを上げることができるでしょう。

これらのスキルを当たり前の手段として使える人が増えていくと、社会全体としても、みなさんの日々の業務やプロジェクトレベルにおいても、目に見えた生産性の向上を生み出すことができます。

とはいえ、これらをできるようになるための基礎プログラミングスキルを身につけるためには、一定のまとまった学習をする必要があります。
そのため、何かライフステージのタイミングを見て、まとまった学習期間を持つ、というのも良い選択となるかも知れません。

ただ、改めて強調しておきたいことは、「プログラミングは課題解決のための一つの手段に過ぎない」ということです。

マイクロソフトが2019年5月に発表したように、機械学習・深層学習によるデータ分析もドラッグアンドドロップでできるようなツールも既に世に出始めています。
※参照

ちょっとした日々の業務の効率化や自動化についても、プログラミングをせずに、IFTTTやZapierのようなツールを利用して効率化できるものはたくさんあります。

そのため、プログラミングというのを特殊なスキルとして捉えるのではなく、「文字を読む程度の無意識レベルのスキル」として気軽に捉えつつ、「数ある課題解決・問題解決の手法の一つ」として認識しておくのが良いでしょう。

プログラミングは一つのツールでしかない

今回は、「プログラミングを学ぶ価値とはなにか?」について、書きました。

特に、既にご自身のスペシャリティを持って仕事をしているようなビジネスパーソンにとっては、プログラミングというのは「一つの課題解決の手段に過ぎない」という考え方を持つことは非常に大切です。

本質的には、既にみなさんがお持ちのスペシャリティを重視した上で、その領域に対してテクノロジーがどのような影響を生み出すのか、について考えを深めておくことの方が重要です。

また、その上で、「今現在のスペシャリティをより効果的に発揮する方法として、プログラミングも一つのツールとして使えるようになっておく」、というのが妥当な考え方になるでしょう。


他方で、明確にエンジニアにキャリアチェンジをしたい、というような想いをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。そのため、次回は、非エンジニアの方がエンジニアへのキャリアチェンジを検討する際に考えておくべきポイントについて紹介します。

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