はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、介護職員として働く、バツイチの65歳女性。現役で働いているものの貯蓄は増えず、老後資金を増やすために投資を検討しているようです。FPの横山光昭氏がお答えします。
これからの生活のためにお金をつくりたいです。15年ほど前に離婚をし、息子も一人立ちしているので、老後は一人暮らしです。年金を受給中ですが、介護施設でもうしばらく働けるので給与収入もありますし、離婚時の財産分与でマンションが自分のものになっているので、なんとか生活はできています。ただ、蓄えが増えません。これから働けなくなったら、生活費が不足するので、働いているうちになんとかしたいと思っています。金融機関で相談すると、投資を勧められましたが、私にもできるものなのでしょうか。
〈相談者プロフィール〉
・女性、65歳、バツイチ
・職業:介護職員
・手取り世帯月収:24万円
(年金:9.8万円、手取り収入:14.2万円)
・手取り年間ボーナス:約40万円
・貯蓄:600万円(離婚時の財産分与分のみ)
【支出の内訳(23.6万円)】
・住居費:1.5万円(管理費)
・食費:6.8万円
・水道光熱費:1.5万円
・通信費:1.8万円(スマホ・タブレット各1台)
・生命保険料:0.7万円
・日用品代:0.5万円
・医療費:0.8万円
・教育費:1万円
・被服費:1.5万円
・交際費:4万円
・その他:3.5万円
横山: ご相談ありがとうございます。そうですね、現状のままでは、仕事ができなくなった後の生活費は少し心配ですね。ですが、焦って安易に投資を始めてはいけません。
「すぐに投資をする」ではなく、まずは家計の見直しを
老後資金を増やすために投資を、というお気持ちはわかります。ですが、支出状況を見ていると、投資をするには余剰金が少ないようです。女性一人暮らし、住宅費もかからない状況で、毎月23万円以上の生活費がかかるのは、少し支出が多いのかもしれません。支出状況を見直して、黒字額を増やすことから始めましょう。年金生活に入ると、もっと生活費を圧縮せざるを得ないかもしれません。その準備段階と捉えていただくとよいでしょう。
相談者さんは、食べることや他の方との交流を好まれているようですが、ここの改善は難しそうでしょうか。この支出を抑えられると、支出状況は随分変わりそうです。また、通信費も格安SIMに入れ替えるなど、削減策はありそうです。使い方により不向きな場合もあるので、家電量販店の格安SIMコーナーなどで相談してみてはいかがでしょうか。
いろいろ取り組んでみると、7万円ほどの削減が可能だと思います。
いろいろ生きる楽しみとしてのこだわりがあるのでしょうが、ある程度工夫しながら支出を下げていただけたら、貯めるられる金額は増えていきます。