はじめに

6月に入り、年度末までのスケジュールの見通しがようやく立ち始めた人も多いのではないでしょうか。あなたの今期のスケジュールには、健康診断やがん検診など、ご自身の健康状態をチェックする予定が組み込まれていますか?

今回は、ミドル女性にとって身近な「乳がん検診」の受診率や人々のがんに対する不安意識に関する調査結果をご紹介し、健康チェックの機会の重要性について考えてみたいと思います。


乳がん検診の受診率は4割台

厚生労働省では、市町村による科学的根拠に基づくがん検診を推進しています(注1)。この指針によると、市町村による乳がん検診の対象者は40歳以上の女性、受診間隔は2年に1回とされています。

しかしながら、同省の『平成28年国民生活基礎調査』に基づく国立がん研究センターの資料によると、日本の40歳~69歳女性における2016年の乳がん検診の受診率は44.9%にとどまっています。

また、乳がん検診の受診率には地域差が大きく、都道府県別にみた場合、もっとも高い山形県(61.2%)と、最も低い山口県(36.1%)では20ポイント以上もの差がみられます(図1・図2)。

図1:40~69歳男女のがん検診受診率

資料:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」 より筆者作成。*は過去1年間の受診有無。**は過去2年間の受診有無。2016年は熊本地震の影響で熊本県のデータが含まれていない

図2:40~69歳女性の乳がん検診受診率(都道府県別)

資料:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」より筆者作成。過去2年間の受診有無。2016年は熊本地震の影響で熊本県のデータが含まれていない

受診率の関連要因

筆者はこのような医療・保健領域のデータに詳しくないため推測になってしまいますが、受診率には、受診対象者の年齢構成や就労状況など多様な要因との関連性もありそうです。

この点に関し、たとえば東京都が先月公表した資料では、就労状況と受診率の関連性に注目した集計結果が公表されています(注2)。

年齢構成など他要因の影響を考慮する必要があるものの、この資料からは、非正規雇用の女性や無職の女性では、正規雇用の女性に比べ受診率が低い可能性が示唆されます。

正規雇用の女性の場合、職場を通じて検診の機会がある人も多いと思いますが、それ以外の雇用形態で働く女性や無職の女性の場合、自治体の広報誌やホームページ、個別に郵送される受診案内等を通じて対象年齢や受診機会を知る人も多いでしょう。これらの女性にとっては、自治体の広報や送付物が、受診のきっかけとして重要な意味をもつと思われます。

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