はじめに

5月分の上方修正が意味するもの

「下げ止まり」は「景気後退の動きが下げ止まっている可能性が高いことを示す」ことを意味し、その基準は「3ヵ月後方移動平均(前月差)の符号がプラスに変化し、プラス幅(1ヵ月、2ヵ月または3ヵ月の累積)が1標準偏差分(0.90)以上。当月の前月差の符号がプラス」というものです。

5月分の一致CIの採用系列では、生産指数(鉱工業)の前月比が+0.3%程度と、わずかですが増加になると筆者は慎重に予測しています。製造工業生産予測指数5月分前月比は+5.6%の増加です。

しかし、実際は下振れしやすいので、過去のパターンなどで修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、5月分の前月比は最頻値で+1.5%の増加見込みと低めになりますが、プラスの伸び率です。

90%の確率に収まる範囲は+0.5~+2.5%と、こちらもプラスの伸び率になっています。6月28日に公表される実績が予測通りならば、景気動向指数の基調判断の「悪化」脱却に向けて一歩前進です。

GDP(国内総生産)の個人消費(家計最終消費支出)と同様な推計方法で算出されている内閣府の消費総合指数は、4月分が前月比+1.7%となり、2ヵ月連続で増加しました。4月分の1~3月分平均比は+1.7%もあり、実質GDPの最大の需要項目である個人消費は4~6月期には1~3月期の前期比▲0.1%から一転して高めの伸び率に転じることが期待される状況です。

4~6月実質GDPの内容などと合わせて、景気動向指数の基調判断の「悪化」脱却など、明るい面が注目される局面が来ることが期待されます。

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