はじめに

日本では4月から「働き方改革関連法」が順次適用され、残業時間の罰則付き上限規制や有給休暇の取得義務化が開始しています。政府は、働き過ぎを防ぐことで働く人の健康を守り、多様なワーク・ライフ・バランスの実現を目指しています。

その一方で、仕事が早く終わっても、まっすぐ家に帰らない「フラリーマン」も話題になっています。

実は今、中国においても、働き方について大きな議論が巻き起こっています。社会の急速なデジタル化や市場競争の激化によって、残業の常態化や過酷な勤務体制が問題になっているのです。


「996」は何を意味しているのか

働き方については、3月にIT企業の若手のプログラマーを中心に、過酷な労働状況を訴えるプラットフォーム「996.ICU」が立ち上げられたことで、中国国内の注目が集まりました。

「996.ICU」の「996」は、勤務形態を意味します。「996」とは朝9時から夜9時までの勤務を週6日間行うことで、「996.ICU」には「996の勤務形態で働き続ければ病気になり、ICU(集中治療室)に運ばれてしまう」という意味が込められています。

残業時間

「996」という勤務形態は2016年にすでに出現しており、最近ではもっと過酷な「807」(朝8時から深夜0時まで週7日間)、「716」(朝7時から深夜1時まで週6日間働く)なども出てきています。

996、807、716は当然のことながら、いずれも中国の労働法に違反しています。

中国労働法によると、1日の労働時間は8時間、1週間の平均労働時間は44時間を超えてはならないとしています。1日の残業時間は原則として1時間を超えてはならず、特殊な事情で残業時間をさらに延長するとしても1日当たり3時間を限度とし、1ヵ月で合計36時間を超えてはならないと定めています。

なお、残業代は従業員本人の時給の150%、休日出勤は200%を支払う必要があります。