はじめに
湿度が高くて蒸し暑い季節になりました。この時期に食べたくなるのが、夏の麺類の代名詞の1つでもある「そうめん」です。
実は、そうめんの国内生産量はここ1~2年でじわり回復傾向にあります。その背景には、そうめんつゆに浸けて食べるという従来のものとは異なる楽しみ方の広がりがあるようなのです。最新のそうめんトレンドとはどんなものなのでしょうか。
「そうめんの日」を前に体験イベント
「わー、そっちに行ったー」「ダメー、取れなーい」――。浴衣姿の若い女性たちが竹筒を流れるそうめんを前にして、黄色い声を上げます。
ここは東京・渋谷の雑居ビルの最上階にあるイベント会場。6月下旬のこの日は、進化系流しそうめんを体験してもらうイベントが開催されていました。
6月28日に開かれた、進化系流しそうめんの体験イベント
主催したのは、イベントスペースなどの時間貸しプラットフォームを運営する「スペースマーケット」という会社です。会場には、ホームパーティーが好きだという約30人の男女が集まりました。
7月7日の「そうめんの日」を前にして、自宅や飲食店以外でも流しそうめんが楽しめることを体験してもらおうと開かれました。この日は、国内2位のそうめん生産高を誇るという長崎県島原市から提供を受けた、やや太めでコシのある手延べそうめんが参加者に振る舞われました。
急拡大する「流しそうめん体験」
スペースマーケットでは、今年から流しそうめんの特集ページを設置。都内を含む30ヵ所の流しそうめんが楽しめるスペースを紹介しています。
同社における「流しそうめん」の検索数は一昨年あたりから増え始め、昨年に急増。自宅にそうめん流しができるようなスペースのない人や、流しそうめん器のない人などが、レンタルスペースを借りるケースが多いといいます。
「かつて流行したものを楽しむリバイバル体験がブームになっていることに加えて、インスタグラムやTik TokといったSNSでも動画映えすることから、動きのある流しそうめんが注目されるようになりました」(端山愛子執行役員)
さまざまな暮らし方を体験できるサービスを提供している「TABICA(タビカ)」では現在、約50ヵ所で流しそうめんの体験を提供しています。1人当たり2,000円で手っ取り早く2時間程度で流しそうめんを楽しめるものから、1人6,000円で竹筒づくりから体験できる本格的なもの(所要時間は6時間)まで、ラインナップはさまざまです。
中でも最近人気なのは、ライティング流しそうめん。そうめんを流す竹筒の周りをイルミネーションで装飾し、夜間に楽しむ流しそうめんです。
最近人気になっている「ライティング流しそうめん」
「日が落ちてからなので、熱中症になる心配がありません。最近流行りのナイトプールほど意識が高いわけではなく、幅広い年齢層が楽しめるのも人気の理由です」(運営会社の細川哲星・TABICA事業部室長)
今年に入ってからのタビカでの流しそうめんの検索数は、昨年の2倍程度で推移。7月はすでにかなりの予約が入っているそうです。