はじめに

7月5日に発表された米国6月雇用統計は、非農業部門就業者数(NFP)が市場予想よりも強い内容となりました。一方で、平均時給伸び率は市場予想よりも弱い内容でした。

なぜ、このような結果になったのか、筆者の予想と合わせて解説したいと思います。


雇用統計への市場の反応は

市場の反応は、ドルの上昇、米金利の上昇、米株式指数の下落という結果でした。今回の指標を好感する方向で反応したというより、利下げ期待の後退が株式市場を下落させたと解釈しています。そのため、強い指標での米株式の売りは続かず、ニューヨーク市場引けにかけて、米株式指数は買い戻される展開となりました。

今回の雇用統計は、前日の7月4日が独立記念日で、ニューヨークは休日の谷間の発表だったので、米国勢の参加は少なかったものと思われます。また、独立記念日の週での発表ということで、集計も間に合っていないものもあったと思われ、来月に大幅に修正される可能性もあることは留意しておきたいです。

細かく見ていきましょう。ドル円の短期的な投機ポジションはドル売り・円買いに傾いていたと筆者は考えており、指標発表直後からドル円の買戻しは強まりました。

一方、米国債の投機的ポジションは買い持ちに傾いていたと思われ、0.5%の米利下げ期待後退で、米国債の売りが強まったものと思われます。平均時給伸び率が予想より弱かったことには反応薄で、今回は短期的投機ポジションが相場に影響したと考えられます。

筆者の6月NFP予想は前月比5万~10万人増と、市場予想よりも弱いものでした。米雇用統計調査週(12日を含む週)の米失業保険継続受給者数は、5月の166万2,000人から6月には169万4,000人と増加しており、雇用増は期待できないと予想していたからです。ですから、8月に発表される修正値が強いままかどうかは予断を許さないと思っています。


米国の失業者数は増加傾向にあった

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