はじめに
「ダブル決済日」には注意が必要?
実は、今回の制度変更で最も注意すべき日付は7月18日(木)です。この日は通称「ダブル決済日」と呼ばれ、7月12日(金)に行われる「T+3」最後の受け渡しと、7月16日(火)に行われる「T+2」初めての受け渡しという2つの決済が同時に起こる日となります。
ダブル決済日には、処理負荷の集中による決済の遅延リスクが懸念されています。このような不測の事態が発生すると、2日分の決済に大きな影響を与えるおそれがあります。そのため、市場ではさまざまな対策が講じられています。
証券会社側では前日までにダブル決済のための業務を前倒しにすることで、決済処理の負荷を軽減させる取り組みを行っています。さらに、万が一、決済リスクが現実のものとなった場合に備えて、決済を担当する機関向けの担保金や預託金を積み増すという対応も同時に行っています。
上場企業側では、決済処理に間接的な負荷をかける株式分割や合併などといったコーポレートアクションをなるべく実施しないことが望ましいとされています。上場企業がこの考え方に応じるかは任意ですが、おおむねほとんどの企業がこの方針に則ることが予想されます。
運用機関側では、ポートフォリオの入れ替えや、構成銘柄の見直しに伴う大規模な売買を控えることが望ましいとされています。こちらも上場企業の例と同じく、その考え方に則るかどうかは任意です。しかし、運用機関がわざわざ普段よりも決済リスクが高い時に積極的な売買行動をとることは考えにくいのではないでしょうか。
7月18日に投資家が取るべき行動は?
このように考えると、7月18日(木)は決済におけるリスクがゼロであるとはいえない状況であるといえます。しかし、上場企業絡みのイベントがあまり期待できないだけでなく、運用機関の積極的な売買行動も期待できないことを考えると、値動きがあまり見られない状態になるかもしれません。
このような環境においては、投資家にとっても普段よりも大きい決済リスクを負ってまで取引に参加するメリットは少ないといえるのではないでしょうか。
通常、午前9時から午前11時には活発に株取引が行われます。この時間帯には、決済業務にかかる負荷が集中し、ダブル決済日においては特に決済の遅延リスクが懸念されます。したがって、7月18日(木)の午前中は、滞りなく株取引が行われているか市場の様子をじっくり観察したうえで、株取引に臨んでみてはいかがでしょうか。
<文:Finatextグループ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 古田拓也>