はじめに

ソフトバンクGは6人で91億円

同社はフィッシャー氏を含め、上位20位までに6人がランクインしていて、そのうち4人が外国人。6人分の報酬を合計すると、実に91億2,500万円に上ります。

昨年は、上位20位までに同社から4人がランクイン。そのうち3人が外国人で、4人合計の報酬が54億9,900万円でしたので、今年は1.6倍に増えた計算になります。

ちなみに、ソフトバンクといえば孫正義・会長兼社長ですが、孫さんは毎年1億3,000万円前後の基本報酬のみなので、ランキングとは無縁。今回は通信分野を分社化して上場させ、そこから株でもらった報酬が8,900万円あったため、2億2,900万円に上昇していますが、ランキング上位に登場する役員たちとは、もらっている額のケタが違います。

孫正義

それでも、ソフトバンクグループ株式の2割を握る筆頭株主ですので、配当金を約100億円手にしています。

退職金でランクアップしたのは?

すっかり少数派になったのが、多額の退職金を受け取って上位に登場する大物たちです。 昨年はソニーの平井一夫会長(当時)が4億円強のストックオプション(自社株を一定の行使価格で購入できる権利)と12億円弱の退職金でトップになりましたが、退任したので当然のことながら、今年はランキングから姿を消しています。

代わってランクインしたのが、建設事業と分譲マンション事業を手掛ける新日本建設の創業会長の金網一男氏。1964年の創業時から55年間にわたってトップを務めた人物です。基本報酬は5,800万円ですが、退職金22億8,400万円の底上げ効果でいきなり2位にランクインしました。

千葉県地盤の年商1,000億円規模の中堅どころの会社ながら、建設事業が好調。2019年3月期は、これだけの退職金を負担しても、100億円の当期純利益を計上しています。

金網氏以外で退職金によって30位以内に登場した人は4人いますが、いずれも10億円の大台には乗っていません。

お家事情でランキングから消えた人物

昨年、引退組ではなく、現役組でランクインしていた人が、今回は1人、ランキングから姿を消しています。一躍“時の人”となったLIXILグループの瀬戸欣哉社長(当時)です。

昨年は6位でしたが、同社のドン・潮田洋一郎会長と対立。突然解任されたためです。理不尽な形での解任だったため、外国人株主などの支援を得て、今年の定時株主総会で復権を果たしました。来年の調査ではランキングに復帰してくる可能性があります。

上位30 位までに1人もランクインしていないのに1億円以上の報酬を得て開示対象になった人数が最も多いのが、三菱電機。2番目に多い日立製作所も、誰もランクインしていません。1人もしくは数人が突出して報酬を多くもらっているのでないことが原因です。

開示人数

実は、東京商工リサーチは毎年7月上旬から中旬に、よりくわしい分析レポートも出しています。このレポートで秀逸なのは、ランクインした人の報酬と、従業員の平均給与との乖離が大きい会社をランキングしたページです。

今年は、あと2~3週間ほどすると、公表されるとみられます。それぞれに個別事情があるはずですので、公表されたら分析してみたいと思います。

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