はじめに

老後の生活次第で変わる必要額

現在の資産のうち、教育費に2700万円を使うとすると、残りは投資にまわしている1000万円です。

今後も毎月10万円の貯蓄を維持できるとは限らないと前述しましたが、次の3つの条件を満たせると、老後資金は表のように推移します。

1. 親からの援助を末子が高校1年生まで継続し月額10万円の貯蓄をキープ
2. 子供の大学卒業で1人あたりの生活費の負担を月額5万円減らすことにより、同額を貯蓄に上乗せ
3. 老後の生活費分としての貯蓄は2年9ヵ月後から

図2

表では、ご相談者夫妻が60歳時点で4690万円を確保できます。シミュレーションは積み立てたお金をまったく運用しないもの(0%)としていますが、物価が上昇すると価値が減ってしまうので、物価上昇分以上の運用を目指しましょう。

退職金や公的年金に、この4690万円を加えた金額が老後の生活資金となるわけですが、必要額を満たしているかどうかは、実際にどれくらいの金額で生活するかで答えが変わってきます。

住宅ローンの終期は不明ですが、遅くとも退職するまでには終わらせるようにします。ローンが終われば、1ヵ月あたりの生活費は、その分減り(マンションなので管理費や修繕積立金の支払いは継続)、子供の生活費も10年後の「大4・高3・高1」をピークに減っていきます。

退職金や公的年金の受取予想額を確認して、想定される生活費の合計額に不足するようなら、退職までの収入を増やすか、支出を引き締めるかのいずれかになります。

老後の生活費と教育費は「トレードオフの関係」?

ご相談者はフルタイムからパート勤務への切り替えを希望されています。切り替えで収入が減っても、老後の生活資金が足りていれば実行してかまいません。

反対に、フルタイムを継続し、得られるだけの収入をすべて得ても老後の生活資金が不足するようであれば、用意できたはずの教育資金から不足分を取り分けます。初年度納付金については保護者が現金で用意しなければなりませんが、2年生以降の費用は、奨学金で子供自身にお金を用意してもらうこともできるからです。

ご相談者夫妻が用意できるお金には限りがあり、支出の節約にも限界があります。電化製品の買い替えやリフォームなどの特別支出もあるでしょう。毎年の貯蓄残高が計画どおりに推移しなければ、小まめに資金計画を見直すようにして、安心を引きよせるようにしましょう。

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