はじめに
少子化に伴う全入時代が到来しつつあると言われながらも、人気校では激しい受験戦争が続く大学入試。大学側も、志願者を集めるためにあの手この手の広報戦略を繰り広げています。
そんな中で、高校3年生のハートに最も刺さっている大学は一体どこなのでしょうか。リクルート進学総研が、大学ブランドランキング「進学ブランド力調査」結果を発表しました。
背景に大学定員の厳格化
調査は今年4月、関東、東海、関西エリアの高校に通う2020年3月卒業予定の高校3年生計約12万人を対象に行われ、約1万3000人から有効回答を得ました。大学の志望度や知名度、イメージなどに加え、今年からは新たに学問分野別の志望度も聞いています。調査は2008年に始まり、今年で12回目でした。
今回の調査結果の背景にあるのは、2016年頃以降、国が私立大に定員の厳格化を求めていることです。国は定員を大幅に超過した大学への補助金を減額し、学部の新設を認可しないなどの方針を打ち出しています。
その結果、都心部の大手私立大を中心に、これまでより募集人数を減らす動きが続いています。調査したリクルート進学総研によると、「定員減によって受験生の不安は増大し、難関大から中堅、さらに滑り止め大へと志望者が移動する玉突き現象が起きている」と解説します。
関東エリア1位は私立最高峰のあの大学
では「志望したい大学」のランキングを見ていきましょう。関東エリアでは、早稲田大学が3年連続1位となりました。2位は明治大、3位は青山学院大でした。男女別では、男子が11年ぶりに早稲田が1位に返り咲き、女子は調査開始以来、初めて青学がトップとなりました。
文理別では、文系では2年ぶりに早稲田、理系では8年ぶりに東京理科大が1位でした。関東エリアの特徴は、国公立大に比べ私立人気が高いことで、この傾向は調査開始以来変わらず、半数以上の高校生が私立を志望しています。ランキングでも、上位20位内に国公立は4校しか入りませんでした。
特に順位を上げたのは、明治学院大(昨年23位から18位)、帝京大(27位から19位)などでした。同総研の小林浩所長は「関東は国公立の総合大学が少なく、私大の数が圧倒的に多いために人気が高い。定員厳格化の影響で、難関総合大の併願となる大学のランキングが上昇しているのが近年の特徴」と話します。