老後

50年以上付き合いのあった隣家も?空き家になる「2つの理由」

財産が少ないほどまとまらない遺産分割

天国の親に後ろめたい気持ち「どうしてほしかったのだろう」

「今後、お隣さんみたいになったらいやだなぁ」。水足さんには、お隣さんと同じように妹がいます。2人の関係は、今は良好ですが、将来母親の相続の時にお隣さんのように兄妹間の心にしこりができるのではないかと不安だといいます。

遺産分割協議が進まない背景には、所有者の親が遺された実家をどうしてほしいのか、意思表示をしていないという現実があります。先祖代々から引き継いだものなので売却せずに守ってほしいのか、誰も住まなくなったら売却してもかまわないのか、相続人の中の誰に引き継いでほしいと思っているのか。

相続税の支払い等のためにやむなく売却した際に、天国の親に後ろめたい気持ちを持つ人もいらっしゃいます。「どうしてほしかったのだろう……」相続税の申告や名義変更等の手続きの際に、相続人の方が口にされることの一番多い言葉です。

このようなことにならないために、生前に相続人となる人に想いを伝えることが大切です。財産の分け方に関しても同様です。相続手続きをスムーズに行うという点から、遺言書の作成は必須なのです。

元気なうちに空き家対策、増える信託契約

最近、実家の行く末を生前に決めておく信託契約が増えてきています。

実家を所有する親が高齢になり、これから施設に入居する可能性があるものの、できる限り実家に住んでいたいというケースに対応するためです。もし、何も対策をせずに認知症等になったら、前述したように実家の売却等が困難になります。

しかし、元気なうちに「自分の代わりに信頼する息子や娘が実家を管理、運用、処分等をする」という信託契約を結んでおくことで対策を講じることができます。この契約に基づき登記を行えば、認知症等になった場合でも、息子や娘が自宅の管理を行うことや売却等の処分を行うことが可能になります。売却が行われた場合には、その代金は「親の生活・療養看護の費用として使用する」というような定めにすることで、売却代金の使い道を決めておくことも可能になります。

このような対策をすることで、“空き家にしない・させない”という親と子、両方の想いや願いをかなえることが可能になるのです。

相談に来られた水足さんは、「母親と妹と今後のことを話し合ってみます。お隣さんのようにはなりたくないので」と言い、お帰りになりました。

まずは「何もしないとどうなるのか?」を知ること

各家庭によって家族関係も、抱えている問題も違います。ひとり、または家族だけで考えるのではなく、専門家の意見も取り入れてみてはいかがでしょうか。

まずは、家族関係を戸籍から確認して誰が相続人にあたるのか確認しましょう。それと、どのような財産を持っているのか、財産のたな卸しをしてみましょう。それをもとに「何もしないとどうなるのか」を知ることで、自分の気持ちの整理ができ、対策の1歩を踏み出せるのではないでしょうか。

<文:行政書士 細谷洋貴>

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