はじめに

クラファンを活用したワケ

今回の商品の開発にあたって、HARIOはクラウドファンディングも活用しました。いくつかのプランがありますが、たとえば一般向けの販売価格が1万3,824円(税込み、以下同)のところ、クラウドファンディングで1万800円を支援すれば、グラインダーとコーヒー豆200グラムが手に入る仕組みです。

クラウドファンディングといえば、通常は資金力のない個人や小規模店舗が資金調達や知名度獲得のために行うのが主流。一方、HARIOはコーヒー器具メーカーとして70年以上の歴史を誇ります。もともとは耐熱ガラスメーカーとして技術の高さが評価されていました。

会見
会見に臨んだHARIOの倉永取締役(左)とMakuakeの木内取締役

なぜ、すでに知名度もあり、サードウェーブの波にも乗っている老舗メーカーが、あえてこのような取り組みをしたのでしょうか。その理由について、前出の倉永取締役は「今までのコーヒーのコアユーザーだけでなく、豆を挽いたことのないより多くの方に使ってほしい」と力説します。

挽くのを敬遠する若者がターゲット

クラウドファンディングの組成を担当した「Makuake」の木内文昭取締役も、「今まではどちらかというと、コーヒーは一人で楽しむ、時間や空間に浸って、ゆっくりと楽しむものでした。今回は、おもてなし、エンターテインメントとしてコーヒーをとらえ、コーヒーが好きだけど『挽くほどでは』という人に、新たな体験として味わってもらいたい」と言います。

つまり、「買って飲むけど、自分で挽いては飲まない」という層をターゲットにしているわけです。商品の紹介動画では、キャンプ場やホームパーティーで、若者たちが大勢でワイワイとコーヒーを楽しむ様子が描かれていました。確かに従来のコーヒー像とは違います。

倉永取締役は「こんな場所で、こんなに簡単にコーヒー豆を挽ける、という驚きを体験してもらいたい」と熱く語ります。はたしてHARIOの試みは奏功するのでしょうか。

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