はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回は読者の家計の悩みについて、プロのFPとして活躍する深野康彦(ふかの・やすひこ)氏がお答えします。
金利2.4%の住宅ローンが、あと19年残っています。最近、金利1.0%前後のものに借り換えられるという宣伝をよく見ますが、本当でしょうか? 先日、某銀行に相談に行ったら、門前払いにされました。借り換えの条件は厳しいのでしょうか。
(匿名希望)
深野: 住宅ローンの借り換えを考えられているようですが、住宅ローンの借り換えでは、次の3点を満たしている場合、手数料を負担しても借り換えを行った方が有利といわれています。
住宅ローンを借り換えた方がお得になる3つの条件
その条件は、こちらの3つです。
1:返済残高が1,000万円以上
2:残りの返済期間が10年以上
3:現在の金利と借り換え後の金利差が0.5%以上
ただ、これら3つの条件を満たしていなくても、借り換えた方が有利になるケースもありますので、これはひとつの目安と考えてください。
ご質問には返済残高が記載されていませんが、残りの返済期間から推測すると残高が1,000万円以上あると考えられますので、借り換えを検討されるとよいでしょう。
1.0%前後の住宅ローンに借り換えができるというのは本当でしょうか、と質問されていますが、変動金利や固定金利選択型の固定期間が3年以上のものであれば、1.0%前後の金利に借り換えることも可能です。
ご注意していただきたいのが、ご質問者の方の返済期間は残り19年ありますので、変動金利型や固定期間3年以下のような短期固定に借り換えてしまうと、残りの返済期間のほとんどを金利変動リスクにさらされることになります。
金利上昇時に繰り上げ返済などができる余裕がある人でない限りは、変動金利や短期固定に借り換えることは控えるべきでしょう。そのため、余裕がある人以外は、10年以上の長期固定、あるいは全期間固定へ借り換えられるのが基本になると思います。長期固定や全期間固定に借り換え、その後予測に反して金利が低下した場合は、再度借り換えをすればよいのです。
住宅ローンを借り換える際の条件ですが、新規借入れよりは借り換えのほうがやや厳しいかもしれません。借り換える際には、これまでの返済履歴が問われることになり、1ヵ月でも返済に遅れがあると借り換えができないケースもあります。
金利が低くなるほど審査は厳しくなる
住宅ローン金利が低いのは銀行間の金利競争によるものですが、銀行側に立ってみれば返済が滞ることになれば大問題になります。言い換えれば、きちっと返済を履行してくれる優良顧客を囲い込みたいわけですから、金利が低くなるほど審査は厳しくなると考えた方がよいと思われます。
また、不動産会社からの紹介ですが、新規融資の場合は金融機関の紹介を行ってくれますが、借り換えの場合にも紹介を行っているとは聞いたことがほとんどありません。
銀行との借り換え交渉は、銀行ごとに審査すべきポイントが異なることがありますので、1つの銀行に断られても、根気よくさまざまな金融機関をまわることが大切です。ただし、さまざまな金融機関をまわるといっても、自分が住んでいるエリアを営業対象としている金融機関以外をまわることは得策ではありません。