はじめに

5年程度で実用化を目指す

また、うつ病や認知症の患者は、健常な人と比べて深部体温の変化が異なることが知られています。深部体温を使えば、より早期の発見が可能になるかもしれません。睡眠中の深部体温を測ることで、排卵日を正確に把握することもできそうです。

飲む体温計は日本ではまだ認可されていませんが、吉田さんによると、欧米ではスタートアップがボタン式電池を搭載したものを開発し、すでに実用化されているそう。飲む体温計の市場は、米国では2024年に約120億円に成長するという調査もあります。

吉田さんは「まずは病気の治療のための医療機器として承認を受け、その後に広くヘルスケアに使えるようなものにしたい」と、5年程度で実用化することを目標に掲げます。ただ、日本では承認のハードルが高いため、まずは海外での承認を目指す可能性もあるそうです。

研究チームは今年中に動物実験を行って基礎技術を完成させ、量産化に向けた研究に入る予定で、共同開発のパートナーとなる企業を探しています。

深部体温と疾病との関係はまだ明らかになっていない部分が多いとされます。飲む体温計が普及し、多くのデータが集まれば、体温と病気についての新たな知見が生まれそうです。「今日は体調悪いから体温計を飲もう」という日が来るかもしれません。

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