生活

「街金」にお金を借りたらどうなる? 業界歴20年の業者に聞いてみた

景気が悪くなれば客が殺到、「暴力をにおわす」だけで行政処分

「嫌がらせ」のようなこともする

――漫画ほどでないにしても、現実の街金の世界もなかなかシビアそうですね。この仕事の「コツ」などあるのでしょうか?

テツクル: 僕らにとってお金の調達は、以前に比べて楽になってきました。クラウドファンディングなど、個人が出資してくれるハードルも(ITの影響で)下がってきましたし。

しかし、取り立てだけは「人力」でないといけません。AI(人工知能)に取り立ては無理ですよね(笑)。もちろん、ウシジマくんみたいな暴力は駄目です。暴力を「におわす」行為も行政処分になります。だから、債務者が自宅に不在なのを分かっていて向かい、車をギリギリまで家の近くにつけて待つとか。債務者が家から出勤すると駅に僕が待っていて、電車に同乗するけれど、一言もしゃべらないとか……。

――そういうプレッシャーを受ける債権者も非常に嫌だと思いますが、かけ続けなくてはいけない街金側もきつい仕事ですね。

ずっと債務者を押していてもだめですが、引いたら引いたで緊張感が落ちるため、ちょっと「嫌がらせ」のようなこともしなくてはいけません。僕がTwitterを始めたのも、車の中で債権者を待っていて暇だったから。取り立てのことをツイートしたらみんなに興味を持ってもらえたのです。

僕の会社から債権者の家まで距離があったりすると、行くのはしんどいですよ。催促は電話になりがちですね。でも、「そんな簡単に催促に来ないだろう」と(支払いが)遅れる人はいます。やはりたまには家の前に立ったりして刺激を与えなくてはいけない。まあ、やりたくない仕事ですよね……。

――20年やってきた街金ですが、昔とビジネスの内容が変化した点はありますか?

商売のシステムはほぼ変わっていません。例えば、いろんな業界で電子サインが取り入られてますが、僕らの業界は全部紙にハンコを押さなくてはいけない。業界団体で決まっているので、IT化しようがない。僕だってiPad出してサインとかしてもらいたいのですが……。書類には全部、印紙も付けなきゃいけないんですよ。

融資も機械的に進められるものじゃない。書面だけでは判断できないので、相手と会って「何とかなるかな」と考えます。

世間の景気とは「真逆」

――銀行やノンバンクに比べると審査基準が緩いという話ですが、融資を断るケースもあるのですか?

断ることも結構ありますね。担保の余力がないとか、1カ月目から利息が払えないだろうとか。あと、不動産を持っていて担保の余力があっても、(支払いの督促業務で)ストレスがたまるだろうなとか。そのお客さんの名前をネットで検索すると、いろんなことが出てくる場合もあります。「この人を探してます」とか、お金を持って逃げたといった犯罪系の話とか……。

――正直、街金業界はいま儲かっているのですか?

僕は不動産を担保にする場合が多いので、不動産業界の景気にすごく左右されます。例えば、リーマンショックの時は短期間で仕事が一斉に増えましたね。ものすごい勢いで不動産業者が(融資を求めて)押し寄せました。街金業界全体でも、あの頃はものすごく儲かりました。僕はバブルを経験していませんが、バブル崩壊の時もみんな大儲けしたそうですよ。基本的に(世間の)景気と真逆の商売なんです。

だから、不動産業界が好景気なのでここ数年は暇です。不動産業界の羽振りが良くて、どこでもお金を借りれるから。でも、金融機関が融資を絞りだしたら、きっと僕らのところに来るのでしょうね。

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