はじめに

日本企業の業績底入れは近い?

ただ、その後は反対のことが起こります。業績が低迷している時期との比較になりますので、前年同期のハードルが高くないのです。金額ベースの大きな伸びがなくても、前年同期の変化率は改善していくはずです。

純利益の推移

8月13日に発表された7月の工作機械受注の速報値は前年同月比33%減の1,012億円と、採算ラインの1,000億円の受注は回復しました。全体の受注額が前年割れするのは10ヵ月連続ですが、6月の前年同月比38%減からはマイナス幅が縮小しました。

半導体の在庫調整も進んでいるとの報告も徐々に増えており、年後半にかけて景気が回復する蓋然性はいまだ相当程度あると見ています。景気回復に合わせて、日本の上場企業の業績底入れ感も鮮明になってくるでしょう。

冴えない中でキラリと光る銘柄

確かに4~6月期の決算発表は全体としては冴えないものでしたが、だからこそ、その中で目を見張るような決算を発表した銘柄には買いが絶えません。

筆頭は第一三共(証券コード:4568)です。連日で上場来高値更新が続いています。アドバンテスト(6857)も決算発表をきっかけに水準を大きく切り上げたあと高値を維持しています。米国株が大幅安となっても逆行高するような強さです。

決算発表で水準を大きく切り上げた後に高値を維持しているのは、イビデン(4062)や信越化学工業(4063)、富士通(6702)なども同様です。決算前から右肩上がりのトレンドが続いているのはオリエンタルランド(4661)です。

好業績の銘柄が買われるのは当然として、決算が冴えず売り込まれた銘柄も、最近は下値を固める動きも散見され始めています。グローバルマーケットの霧はまだまだ晴れませんが、日本株市場はじわりと底入れの機運が出ているように感じます。

<文:チーフ・ストラテジスト 広木隆>

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